『イリヤッド』における物語単位での区分(前半)

 ネタをネタでつないでいくという物語の構造になっている『イリヤッド』全123話を、話のまとまりを単位として厳密に区分するというのは難しいでしょうが、大まかな話のまとまりは区分できるので、以下に区分私案を掲載してみます。以下、それぞれの話が単行本のどの巻に収録されているかについては、
http://www5a.biglobe.ne.jp/~hampton/iliad001.htm
を参照してください。

(01)1話~5話
 入矢とユリの出会いと、入矢のアトランティス探索への決意の物語。入矢・ユリ・葉山瑠依・瑠依の父といった主要人物のキャラが提示されています。

(01-1)6話・7話
 ヒューマンストーリーの性格の強い、天宮夫妻の物語。アトランティス探索と無関係というわけではありませんが、基本的には本題から外れたヒューマンストーリーで、こうした話が長編の間にたびたび挟まれるのが『イリヤッド』の特徴となっています。

(02)8話~14話
 クロアチアでの冒険譚です。ここで、アトランティス探索の重要な手がかりとなった『東方見聞録』祖本を入矢は発見し、ピツラ教授と出会います。ピツラ教授の話は、ヒューマンストーリーとして面白くなっています。

(02-1)15話
 本題と無関係というわけではありませんが、ユリとその父親との関係を描いた一話完結のヒューマンストーリーです。

(02-2)16話
 瑠依の人物像を、瑠依と入矢との関係を軸に描いたヒューマンストーリーです。この16話は、本題と無関係と言ってよいでしょう。

(03)17~24話
 サントリーニ島での冒険譚です。ここで、入矢はニコス=コーとともにアトランティス探索の重要な手がかりとなる円盤を発見します。24話はサントリーニ島ではなく東京での話ですが、入矢は古道具の鑑定で訪れた小林家で、当主の小林から示唆を受け、アトランティスとアマゾネスとの関係を考えるようになります。

(04)25話~38話
 ユリシーズ伝説と百合若伝説の共通点に気づいた入矢たちはサルデーニャ島へと向かい、真鍮製の騎乗のアマゾネス像を入手します。この物語の冒頭で主要人物の一人であるデメルがはじめて登場し、入矢はイアン=ワードと知り合います。また、作中で入矢たちにとって最大の敵となるグレコ神父がはじめて登場したのは、この物語の後半でした。この物語は、入矢がワードと大分市で出会う30話までを前半、31話~38話までを後半に分けるほうがよいかもしれません。

(05)39話~42話
 ピツラ教授の誘いによりヴェネツィアを訪れた入矢は、聖マルコの棺を見つけますが、開けずにまた埋め戻しました。ピツラ教授から郷土史家のブルーノを紹介された入矢は、ブルーノとの会話を通じて、アトランティスはヴェネツィアと似た構造の都市だったのではないか、と考えるようになります。

(06)43話~59話
 『イリヤッド』で最長の物語となる赤兎博士の話です。秘密結社と敵対する組織が入矢たちに接触してきて、入矢は赤穴博士と出会います。アトランティスと聖杯伝説との関わりや、シュリーマンのフィルムや、人類最大の禁忌についての手がかりや、アトランティスと障壁という言葉の関係について触れられるなど、重要な情報が語られています。

(06-1)60話
 入矢と柴田とが出会い、アーサー王伝説について語り合います。はじめてネアンデルタール人と本題との関に本格的に言及されるなど、謎解きの面でも進展がありましたが、ヒューマンストーリー的性格が強くなっています。

(06-2)61話
 たまにある、本題というか謎解きと無関係のヒューマンストーリーです。コーとサボーのキャラクターを浮き彫りにするという意図もあったのかもしれません。

(07)62話~65話
 入矢はシュリーマンのフィルムを求めて、サボーとともにマルタ共和国を訪れます。ここではじめて、レイトン卿が本格的に登場します。この物語でディオドロスなどアトランティスに関わる重要な手がかりが提示されました。また、入矢がネアンデルタール人とアトランティスや人類最大の禁忌との関わりを思いついたことも注目されます。

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    Excerpt:  まだ日付は変わっていないのですが、9月12日分の記事として掲載しておきます。ネタをネタでつないでいくという物語の構造になっている『イリヤッド』全123話を、話のまとまりを単位として厳密に区分するとい.. Weblog: 雑記帳 racked: 2012-09-11 20:42