大城道則『古代エジプト文明 世界史の源流』

 まだ日付は変わっていないのですが、9月5日分の記事として掲載しておきます。講談社選書メチエの一冊として、2012年4月に刊行されました。エジプトに統一王朝が成立した時代からローマ帝国の統治下に組み込まれた時代まで、3000年以上にわたる古代エジプト史が、古代エジプトの枠内だけからではなく、周辺地域との双方向的な影響という観点から概観されています。エジプトと周辺地域との交流は、もちろん古王国時代からあったことですが、本書では、古代エジプトが「異民族」のヒクソスに支配されたことが、地中海世界へと進出する、「帝国主義」とも称される国際的エジプト王国の契機になったのではないか、と指摘されています。

 「世界最古の一神教」とも言われるアクエンアテン(アメンホテプ4世)のアテン神信仰については、一神教への帰依ではなく、力を持ち過ぎた神官団を王権からの排除だったという見解が採用されており、またアテン神信仰はエジプト社会に浸透することはなかった、とも指摘されています。有名な「海の民」については、地震に伴う大津波がその活動の要因になった、との可能性も指摘されています。古代エジプトは、世界史の授業の最初で習うでしょうから、多くの日本人にとってなじみ深い地域・時代だろう、と思います。もちろん、そうした知識はごく初歩的なものではありますが、本書は、高校の世界史の授業以降に、古代エジプトについてほとんど知識を得る機会がなかったような人も、面白く読み進められそうな内容になっており、なかなかの良書だと思います。

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