更新世の人類社会は母系制なのか

 まだ日付は変わっていないのですが、2月12日分の記事として掲載しておきます。人類の「原始社会」は母系制だったという見解は根強いように思います。しかし実のところ、とくに更新世の人類の「原始社会」については、はたして父系制なのか母系制なのか、それとも双系制など他の分類が妥当なのか、直接的証拠はほぼ皆無と言える状況でしょう。そうした状況でも、この問題に関連のありそうな研究は提示されており、このブログでも取り上げたことがあります。一つは、アウストラロピテクス=アフリカヌスとパラントロプス=ロブストス(アウストラロピテクス属と分類する見解もあります)に関する研究で、
http://sicambre.at.webry.info/201106/article_3.html
もう一つは、ホモ=ネアンデルターレンシス(ネアンデルタール人)に関する研究です。
http://sicambre.at.webry.info/201101/article_6.html

 これら二つの研究が、ただちに更新世の人類社会が母系制だったことを否定する直接的な証拠になるわけではありませんし、その見解の妥当性については今後さらに検証が必要でしょうが、現代の人類もしくは他の霊長類社会からの推測ではなく、はるかに直接的な研究が夫居制的婚姻行動を示唆しており、母系制社会説と整合的ではなさそうだ、ということには注意しておかねばならないでしょう。もっとも、アフリカヌスもロブストスも現代人の祖先ではなさそうですし、ネアンデルターレンシスも、その核DNAの一部が現代人に継承されている可能性が高いだろうとはいえ、現代人の主要な遺伝子源とは言えないでしょうが、現代人の祖先集団の社会構造を推測するうえで、重要な手がかりになるだろう、とは思います。

 おそらく更新世の人類の社会は固定的ではなく、さまざまな要因に応じて構造が異なっていた可能性が高いのではないか、と私は考えています。その要因とは、環境やそれとも関連する、陸上大型獣・海中生物・植物といった食資源にそれぞれどのていどの割合で依存しており、どのようにそうした食資源を獲得していたのか、ということだろう、と思います。もちろん、人類種ごとに社会構造には傾向の違いがあったでしょうし、ネアンデルターレンシスの社会構造が、そのまま同時代における現代人の祖先集団の社会のモデルになるわけでもないとは思いますが。

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