『天智と天武~新説・日本書紀~』第1話「救世観音」・第3話「日本書紀」

 これは2月9日分の記事として掲載しておきます。ネットで、『天智と天武~新説・日本書紀~』の第1話~第8話までのタイトルを確認できました。各話のタイトルは以下の通りです。
第1話「救世観音」
第2話「乙巳の変」
第3話「日本書紀」
第4話「鹿狩り」
第5話「塩」
第6話「入鹿の霊」
第7話「石川麻呂の最期」
第8話「兄弟再会」

 このうち、第1話「救世観音」の冒頭と第3話「日本書紀」をネットで読みました。第1話の冒頭は、岡倉天心とフェノロサが秘仏とされていた法隆寺夢殿の救世観音像を実地調査するという有名な逸話が描かれています。第9話「月皇子」に掲載された前号までの粗筋を読むと、この救世観音像は蘇我入鹿をモデルとしたもので、蘇我倉山田石川麻呂が入鹿暗殺に加担したことを後悔してなのか、仏師に命じて制作させた、ということになっています。この作品では聖徳太子=蘇我入鹿とされているので、救世観音像制作の説明としてはなかなか上手いな、と思います。

 第1話の公開分は本題が始まる前に終わっているので、乙巳の変前の人間模様はよく分かりません。第3話では『日本書紀』編纂の「真相」が描かれていますが、藤原不比等を日本古代史の黒幕とする陰謀論に基づいた話になっており、正直なところ、安直な話になっている感は否めませんでした。この作品では、不比等がどのような出自で(父が豊璋=鎌足と同時代人に認識されているのは確実なようですが、あるいはご落胤説が採用されるのかもしれません)いかにして権力を握ったのか、まだ明らかになっていないようですが、不比等も重要人物の一人ということになるようです。

 第3話を読むと、この作品の根本的な世界観に不安を抱いてしまうのですが、これまでに読んだ話は面白く、なかなか凝った設定になっているようですし、謎解き的な要素もありますので、今後の話しの展開がひじょうに楽しみな作品ではあります。第3話によると、『日本書紀』編纂時には、豊璋=鎌足ということや入鹿が聖者だったという「真実」がまだ多くの人に知られていた、という設定になっているようで、なんとか聖者としての入鹿の事績を史書に残したいと考えた人々が、聖徳太子を創出した、あるいは実在の特定の王族の記事に入鹿の事績を反映させた、ということになるのかもしれません。

 ここまで、第1話の冒頭・第3話・第5話・第9話・第10話・第11話を読んできましたが、まだ読んでいない話のタイトルも考慮に入れると、この作品は、時系列に沿って物語を進行させるのではなく、回想なども用いて、時系列を前後させながら話を展開させていくようです。その分、やや分かりにくい構成になってしまう危険性もありそうですが、謎解き的要素も強い作品なので、その意味では効果的な構成になっているのではないか、とも思います。そろそろ第12話掲載の『ビッグコミック』2013年2月25日号が発売されるので、たいへん楽しみです。

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