五島勉『H・G・ウェルズの予言された未来の記録』

 まだ日付は変わっていないのですが、6月15日分の記事として掲載しておきます。今年2月に、このブログで『【予言・預言対談】飛鳥昭雄×五島勉 ノストラダムスの正体と黙示録の真実』を取り上げましたが、
http://sicambre.at.webry.info/201302/article_13.html
同書において五島勉氏は、ハーバート=ジョージ=ウェルズの著作を題材に新作の執筆に取りかかる、と述べており、今年5月に『H・G・ウェルズの予言された未来の記録』として祥伝社より刊行されました。本書を読む前に、五島氏が以前ウェルズの著書について解説した『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』をこのブログで取り上げ、
http://sicambre.at.webry.info/201306/article_11.html
本書と『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』はどう違うのか、という点に注目しつつ読み進めていきました。以下、雛形
http://sicambre.at.webry.info/201105/article_5.html
に沿って本書について述べていきます。

●書名
H・G・ウェルズの予言された未来の記録

●副題
無(帯には「それは“SF”ではない」とあります)

●出版社
祥伝社

●出版形態
通常の単行本

●分野
H=G=ウェルズ予言

●初版第1刷の刊行年月日
2013年5月5日

●所有本の版と刊行年月日
初版第1刷、2013年5月5日

●推薦者・解説者


●推薦文・解説文


●備考
さすがにもう、五島氏の著書に推薦文・解説文が載ることはないようで、なんとも寂しいものです。

●雑感
 本書も『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』と同様に、ウェルズの著書『THE SHAPES OF THINGS TO COME』の解釈が主題となりますが、本書では、ウェルズの生い立ちや『タイム・マシン』・『宇宙戦争』といった他の著書もやや詳しく取り上げられており、ウェルズが予言者だったことを印象づける構成になっています。ウェルズとその親友や妻とのやり取りは、正直なところどこまで根拠のあるものなのか、よく分かりませんが、こうした描写は五島氏の得意とするところであり、全盛期ほどではないにしても、読ませる力はまだ健在だ、と思ったものです。なお、『THE SHAPES OF THINGS TO COME』は、『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』では『来たるべきものたちの影』と訳されていますが、本書では『来たるべきものたちの姿』と訳されています。

 本書は『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』に言及していませんから、当然のことながら、同書の見通し(五島氏によるウェルズ「予言」の解釈)についても言及・検証されておらず、こうした図太さが五島氏の著述家としての寿命の長さにつながっているのだろうな、と思います。ただ、さすがにもう自分も生きていないだろうから、ということなのか、2050年代のワールド・ルネッサンスの到来という『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』の結論自体は、本書でも変わりません。この点では、五島氏はもう開き直っているのかもしれません。

 本書では、2059年と2106年が画期とされており、2059年は世界国家の樹立にいたるワールド・ルネッサンスの宣言がなされ、2106年には「次の人類」が登場し、世界は明るい未来へと向かう、と主張されています。その明るい未来の前には大きな危機があり、中国が「悪役」として重要な役割を担うことが示唆されています。その時々の日本の主要な敵国について、悪意をもって描くのが五島氏の著作の特徴で、冷戦期にはソ連がその対象になっていました。確かに、中国が日本にとって脅威であることは否定できませんが。その大いなる危機を救うのが、頭脳と容姿の「進化」した「次の人類」で、すでに21世紀初頭という現時点でごく一部登場している、とされます。

 こうして大いなる危機を乗り越えて明るい未来へといたる人類ですが、著者が日本人で、本書は日本語で書かれているわけですから、対象となる主要な読者は当然のことながら日本人(というかほとんど全員の読者が日本人でしょうが)のわけで、日本についての予測にも、当然のことながらそれなりの分量が割かれています。本書で予測されている日本の未来は、大いなる危機を迎えているものの、それを克服してかなり明るいものになっており、とてもそうなるとは信じられないのですが、その根拠となっているのは、『来たるべきものたちの姿』に書かれている詩です。その詩をめぐる謎解きが、本書の基調となっています。

 『THE SHAPES OF THINGS TO COME』は、吉岡義二氏により翻訳されており、『世界はこうなる』という邦題で1958年に刊行され(新生社)、1995年に再刊されているようです(明徳出版社)。五島氏は『世界はこうなる』を読み、どうしてもその詩の翻訳がおかしいことに納得がいかず、吉岡氏に問いただし、それがウェルズ「予言」の謎解きに結実した、というのが本書の説くところです。また、そもそも五島氏がウェルズに興味を抱いたのは、ウェルズの著書を翻訳した阿部知二氏の解説であることも、本書で言及されています。

 五島氏がウェルズに関心を抱く契機になったのが阿部氏の解説で、阿部氏だけではなく吉岡氏にも教えを乞うたことは、『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』でも言及されています。しかし、本書で述べられているような、阿部氏に教えを乞うて不機嫌にさせたとか、詩の翻訳がおかしいと吉岡氏に問いただした、といった出来事は同書では述べられていません。正直なところ、こうしたやり取りが本当にあったのか、部外者には判断がつかないのですが、いかにも五島氏らしい描写ではあると思います。

 本書は全体的に、『1999年日本 ノストラダムス「大予言」からの脱出』の二番煎じといった感は否めませんが、現時点での情勢を踏まえた内容になっていますし、全盛期ほどではないにしても、読ませる力は相変わらずですから、五島氏の新著をもう一冊読めるのではないか、との期待を抱きました。頭脳と容姿の「進化」した「次の人類」は、私が五島氏の著書で最高傑作と考えている『1999年以後 ヒトラーだけに見えた恐怖の未来図』(祥伝社、1988年)と通ずる問題でもあり、五島氏にはもう一度ヒトラーに関する本を執筆してもらえないものだろうか、と願っています。

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この記事へのコメント

Mr.癒し系
2014年01月26日 10:17
世界中には色々な預言があり日本の救世主が来るべきもの達はどの預言にもありますが僕はこの救世主の指導者を知っているから大変理解出来ました。その指導者は埼玉の久喜市に在住で神世界中で王位継承された最高峰の法力のある方です。僕はその最上神の王位継承者の一番弟子なものですから、21世紀の事も理解出来ます。一番は人間が己自身を悟り神に対し感謝しまた深く帰依し善行することですね。

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