ヨーロッパの初期農耕民の移住経路

 ヨーロッパの初期農耕民の移住経路についての遺伝学的研究(Paschou et al., 2014)が報道されました。この研究はオンライン版での先行公開となります。精読したわけではないのですが、備忘録的に要点を簡潔にまとめておきます。農耕がどのような経路でヨーロッパへと拡散したかという問題は、近代的学問の中心地たるヨーロッパでの出来事だけに、考古学・遺伝学の膨大な研究蓄積があります。この研究では、パレスチナ・ギリシア島嶼部・モロッコ・イタリア・スペインなど地中海周辺の32地域の数千人の人々の一塩基多型の解析・比較から、ヨーロッパの初期農耕民の移住経路が推定されています。

 その結果この研究では、ヨーロッパの初期農耕民が中近東からアナトリアを経てバルカン半島経由で拡散した可能性よりも、クレタ島や南ヨーロッパ沿岸を島伝いに急速に移動していった可能性の方が高い、と推測されました。ただ、ヨーロッパにおける初期農耕民の移住経路をより正確に復元するには、初期新石器時代人のDNA解析が必要だ、とも指摘されています。また、ヨーロッパの初期農耕民の移住経路は単一ではなかったかもしれない、とも指摘されています。これらはもっともな指摘で、考古学・形質人類学・遺伝学などによる学際的研究のさらなる進展が期待されます。


参考文献:
Paschou P. et al.(2014): Maritime route of colonization of Europe. PNAS, 111, 25, 9211–9216.
http://dx.doi.org/10.1073/pnas.1320811111

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