イギリス人集団の人口史

 イギリス人集団の人口史に関する研究(Leslie et al., 2015)が公表されました。この研究は、イギリスの広範な地域の2000人の遺伝学的データの分析から、イギリスにおいて遺伝的クラスターと地理的分布とがきわめてよく一致することを明らかにしています。この研究によると、イギリス南東部では、アングロ・サクソン系移住者による遺伝的寄与は半分以下であり、中石器時代以降、ローマ帝国時代以前の時期にヨーロッパ大陸からの集団移動があったことを示唆している、とのことです。また、非サクソン地域には一般的な「ケルト系」集団ではなく、遺伝的に分化した亜集団が存在することも明らかになっています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


集団遺伝学:英国人集団の微細スケールでの遺伝的構造

Cover Story:英国の遺伝子:英国人集団の微細スケールでの遺伝的構造

 遺伝学的データは、集団の歴史や移動を解明するための情報源として広く用いられている。一塩基多型(SNP)データのゲノム全体にわたる解析、つまりゲノム塩基配列中の1つの位置に関する個人間での変動をカタログ化することが始まった現在、ヒト集団間に見られる微細スケールでの遺伝的変動が、歴史上の人口統計学的事象を示すシグネチャー(痕跡)として使えるようになった。P Donnellyたちは今回、英国人2000人以上を選び出すことで得られた、地理的に多様なサンプルに由来するこのようなデータを用いて、遺伝的クラスターと地理とが極めてよく一致することを明らかにしている。今回の結果は、英国における人々の居住状況のさまざまな側面に新たな光を投じるものだ。例えば、英国南東部ではアングロ・サクソン系移住者による遺伝的寄与は半分以下であり、これは中石器時代以降、ローマ帝国時代以前の時期にヨーロッパ大陸からの集団移動があったことを示唆している。このデータはまた、非サクソン地域には一般的な「ケルト系」集団ではなく、遺伝的に分化した亜集団が存在することも明らかにしている。



参考文献:
Leslie S. et al.(2015): The fine-scale genetic structure of the British population. Nature, 519, 7543, 309–314.
http://dx.doi.org/10.1038/nature14230

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