海洋哺乳類の進化

 海洋哺乳類の進化に関する研究(Foote et al., 2015)が公表されました。クジラやマナティーなどの海洋哺乳類は、海洋環境に適応する上で必要な共通の形質を持っていますが、そうした形質はそれぞれの哺乳類群で独立して進化しました(収斂進化)。この研究では、海洋哺乳類のゲノムが解読され、陸上生活から海の生活への移行に関連すると考えられる遺伝子が同定されました。そうした遺伝子のなかには、分析対象とした海洋哺乳類4種すべてで同じ分子的変化をもたらすものもあるそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


海洋哺乳類の進化

 系統的に遠縁な海洋哺乳類の遺伝的類似性に関する研究論文が、今週のオンライン版に掲載される。この論文に示された新知見は、海洋哺乳類において類似の形質が進化した過程の解明を進めるものといえる。

 クジラやマナティーなど独自の哺乳類群によって構成される海洋哺乳類は、海洋環境に適応する上で必要な共通の形質を持っているが、この形質はそれぞれの哺乳類群で独立して進化した。この現象を収斂進化と呼ぶ。今回、Andrew Footeたちは、海洋哺乳類における収斂進化の遺伝的基盤の解明を進めるため、シャチとセイウチ、マナティーのゲノムについて塩基配列解読を行い、バンドウイルカのゲノムについてはこれまでより高いカバー率の塩基配列解読を行った。

 その結果、上述した4種全体で、進化過程で選択された191の遺伝子が同定された。Footeたちは、これらの遺伝子が、陸上生活から海での生活への移行に関連している可能性が高いと考えており、そのうちの8つの遺伝子は、4種すべてで、同じ分子的変化を起こした。また、別の7つの遺伝子は、4種すべてで同じ変化を起こしているが、適応に関与していることの証拠は1種又は2種についてしか得られなかった。これらの遺伝子の一部は、海洋への適応にとって重要な過程(例えば、骨の形成、内耳の形成、血液凝固の調節)で役割を担っている。



参考文献:
Foote AD. et al.(2015): Convergent evolution of the genomes of marine mammals. Nature Genetics, 47, 3, 272–275.
http://dx.doi.org/10.1038/ng.3198

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