50万年以上前の待ち伏せ狩猟

 更新世下部~中部にかけての景観の復元と、それと関連しての人類の狩猟についての研究(Kübler et al., 2015)が報道されました。本論文が取り上げているのは、ケニアの地溝帯にあるオローゲサイリエ(Olorgesailie)遺跡です。ここでは120万~50万年前頃にかけての豊富な石器・大型動物の骨が発見されています。石器はおもにアシューリアン(Acheulean)であり、ホモ属の頭蓋も1個発見されています。大型動物の骨が解体されていたことから、当時の人類は熟練の狩猟者だったと考えられていますが、その狩猟法や武器はこれまでよく分かっていませんでした。

 本論文は、古環境の復元と動物に必要な微量元素(カルシウム・マグネシウム・リンなど)の分析から、120万~50万年前頃のオローゲサイリエ遺跡一帯における大型草食動物の移動経路を推定し、それが地形・食物(草)・水などに制限された限定的なものだったことから、この地域の当時の人類は、死肉漁りよりもむしろ待ち伏せ狩猟を行なっていたのではないか、との見解を提示しています。これは、当時の人類の認知能力を推定する重要な手がかりともなりそうです。

 本論文は、当時のオローゲサイリエ遺跡一帯が人類にとってたいへん魅力的だった、と指摘しています。まず、当時は現代には存在しない淡水湖があったので、飲料水の確保が容易でした。次に、加工の容易な石材がこの地域で入手できました。さらに、上述した大型草食動物の移動経路が限定されていたことと、それを見渡すために恰好の高地が存在したことが挙げられます。また、ライオンのような危険な捕食者が比較的少なかったことも、人類にとって好条件だった、と指摘されています。本論文の手法は有効であり応用範囲が広そうなので、今後このような研究が続くことが期待されます。


参考文献:
Kübler S. et al.(2015): Animal movements in the Kenya Rift and evidence for the earliest ambush hunting by hominins. Scientific Reports, 5, 14011.
http://dx.doi.org/10.1038/srep14011

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