『天智と天武~新説・日本書紀~』第81話「瀬田橋」

 これは1月26日分の記事として掲載しておきます。『ビッグコミック』2016年2月10日号掲載分の感想です。前回は、大海人皇子(天武帝)と鵲が、瀬田橋の罠の仕掛けられている箇所の直前まで進んできたところで終了しました。今回は、鵲と大海人皇子がその罠に引っかかってしまう場面から始まります。大友皇子は橋の中央を切断し、そこに大きな板を渡していました。これを大友皇子軍の兵士たちが引き、大海人皇子を川に落とそう、というわけです。

 鵲は馬もろとも川へと落下し、大海人皇子の方は、騎乗していた馬は川に落下したものの、自身は辛うじて片手で橋に捕まりました。叔父の大海人皇子さえ討ち取れば勝てる、と考えている大友皇子は、兵士たちに大海人皇子を射るよう命じます。大友皇子自身が射た矢など何本か大海人皇子に矢が突き刺さりますが、大海人皇子は自軍の兵士たちにより無事救出されます。この様子を見た大友皇子は、勝負あったな、と呟き、敗北を覚悟します。

 結局、その後は優勢な大海人皇子軍が大友皇子軍を圧倒し、大海人皇子軍は近江大津宮を包囲します。大友皇子は大海人皇子に使者を派遣し、全面降伏を申し出ます。しかし大友皇子は、その条件として大海人皇子と二人きりで会うことを提示します。配下が罠だと言って止めようとするなか、大海人皇子が大友皇子の待つ部屋に行くと、そこには大海人皇子の父である蘇我入鹿を模した仏像(現在では法隆寺夢殿に安置されている救世観音像)が安置されていました。その部屋で大海人皇子と大友皇子が対峙する、というところで今回は終了です。


 ある程度覚悟はしていましたが、以前は本作最大の山場になるだろう、と期待していた壬申の乱はあっさりと終わりそうです。このところ、大海人皇子の心情がほとんど描かれていませんでしたので、次回の大海人皇子と大友皇子との対峙で、それが明かされることを期待しています。大友皇子の最期も気になるところですが、通説とは異なり、自害するのではなく大海人皇子に殺されるのでしょうか。大海人皇子を慕う大友皇子ですから、その前に、自分を抱いてくれ、と大海人皇子に懇願するのかもしれません。あるいは、大友皇子は東国に落ち延びた、との伝承が採用されるのでしょうか。

 落下した鵲がどうなったのかも気になります。鵲は川に落ちて動いていないような描写でしたから、素直に解釈すると戦死したことになりそうです。そうだとすると、初期からずっと登場してきて、大海人皇子が最も信頼しているだろう人物だけに、大海人皇子の心境に大きな変化がありそうです。大海人皇子は、父である入鹿を模した仏像に過剰な思い入れを抱いていたことを反省し、父を突き放して見るようになるのかな、とも予想しているのですが、そこまで大海人皇子の心境が詳しく描かれることはないでしょうか。

 今後の展開は、残り何話で完結するのかにより、異なってきそうです。今月(2016年1月)末発売予定の単行本第9集に8話もしくは9話収録されるとすると、単行本第10集で完結する場合、残りは3話~5話となりそうです。残り5話だとすると、次回とその次で大海人皇子と大友皇子との対峙を描き、そこで大海人皇子の真意と天智帝(中大兄皇子)の最期を説明したうえで、蘇我入鹿がけっきょくは名誉回復されず悪人とされ、入鹿を模した仏像が法隆寺夢殿に安置(封印)された経緯など、作中の謎を駆け足で説明することも可能でしょう。壬申の乱が駆け足で描かれたことにより、単行本第10集での完結はほぼ確定だな、と寂しくなりましたが、気力を失うことなく、完結まで感想記事を執筆していこう、と考えています。

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