村井章介『シリーズ日本中世史4 分裂から天下統一へ』

 これは8月30日分の記事として掲載しておきます。岩波新書(赤版)の一冊として、岩波書店より2016年7月に刊行されました。すでに第1巻第2巻第3巻はこのブログで取り上げています。本書は戦国時代~17世紀前半までを扱っています。中世から近世への移行期が対象と言えるでしょうか。本書の特徴は、「対外関係」や当時は日本に「包摂」されきっていなかった地域というか、「日本」の「周辺地域」に関する叙述が中心となっていることです。本書はこのように「対外関係」や「周辺地域」を中心に据えることで、近世日本の特異な社会・政治構造がどのように形成されたのか、論じています。

 本書がこのように「対外関係」や「周辺地域」を中心に論じているのは、近世日本の形成が世界的な動向のなかに位置づけられている、との認識が前提にあるためです。確かに、ヨーロッパ勢力との接触のように、本書が対象とする時代において日本は世界の動向に大きく影響されました。しかし、本書は一方で、ヨーロッパ勢力との出会いが近代以降の日本では強調される傾向にあるものの、ヨーロッパ勢力の東アジア・東南アジアへの拡大は、じゅうらいのアジア東部における交易の枠組みの中で起きたことも指摘しています。

 このように「対外関係」や「周辺地域」が中心に論じられているため、戦国大名の支配や当時の社会の構造についてはやや手薄になっている感があり、この点は残念でした。また、本書が対象とする時代は現代日本社会ではたいへん人気が高いのですが、英雄譚的な叙述とはなっていないので、この点では一般受けする内容ではなさそうです。とはいえ、世界的な動向からの中近世移行期の通史として、なかなか堅実な内容になっていると思います。

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