人類最古の右利きの証拠

 これは10月28日分の記事として掲載しておきます。人類の利き腕についての研究(Frayer et al., 2016)が報道されました。ナショナルジオグラフィックでも報道されています。この研究は、タンザニアのオルドヴァイ渓谷で発見された180万年前頃の人類化石OH-65の歯を分析し、その利き腕について検証しています。OH-65は、分類に関して異論もあるものの、ホモ属とする見解がまだ優勢な?ハビリス(Homo habilis)に区分されています。現代人の90%は右利きであり、類人猿の右利きと左利きの割合がほぼ拮抗していることとは異なります。では、人類の系統においていつ、右利きが優勢になったのかというと、これまでの諸研究からは、脳の分化・道具の使用とともに、初期ホモ属において生じたのではないか、と推測されていました。

 この研究は、OH-65の上顎の歯の唇側に見られる斜めの条線のほとんどが、左上から右下であることを明らかにしています。これは、左手で食べ物を持ち、右手に道具を持って切り取っていたことを意味するので、OH-65は右利きだったのではないか、とこの研究は主張しています。これまで、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)も含めてホモ属の人類化石で右利きの痕跡が確認されてきましたが、このOH-65の事例は、人類が右利きだったことを示す最古の証拠になるとして、その意義が強調されています。

 上述したように、右利きの優勢は脳の分化・道具の使用とともに、初期ホモ属において生じたのではないか、と推測されており、この研究はそれを裏づける、とも言えるかもしれません。しかしこの研究は、利き手と言語は異なる遺伝的システムに制御されているものの、ともに脳の左側に起源があるので両者の間には弱い関係がある、と認めつつも、OH-65というかハビリスが言語能力を有していたとは限らない、と慎重な姿勢を示しています。しかしこの研究は、今後研究が進展していけば、右利きの優勢・脳の分化・言語能力がホモ属の起源において重要な構成だったと示されるだろう、と展望しています。


参考文献:
Frayer DW. et al.(2016): OH-65: The earliest evidence for right-handedness in the fossil record. Journal of Human Evolution, 100, 65–72.
http://dx.doi.org/10.1016/j.jhevol.2016.07.002

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