現生人類の拡散と気候変動の関係

 これは10月7日分の記事として掲載しておきます。現生人類(Homo sapiens)の拡散と気候変動の関係についての研究(Timmermann, and Friedrich., 2016)が公表されました。アフリカ起源の現生人類の世界への拡散については、回数・年代・経路・要因をめぐって議論が続いています(関連記事)。この研究は、過去125000年間の気候および海水準の変動を考慮して、現生人類のアフリカからの拡散をモデル化しました。

 その結果、106000~94000年前・89000~73000年前・59000~47000年前・45000~29000年前頃の4回、(その当時は)多雨で植生が豊かなアラビア半島とレヴァントの回廊を通っての、現生人類の大きな拡散の波があった、という見解が得られました。これは、考古学や人類化石のデータとも合致する、とこの研究は指摘しています。また、軌道変化という大きな時間単位での地球規模の気候変動が現生人類の移住に重要な役割を果たした一方で、1000年規模の急激な気候変動は局地的な影響しか及ぼしていない、とも指摘されています。現生人類のアフリカからの拡散については、今後も、考古学・形質人類学・遺伝学・古気候学などによる学際的な研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


人類移動:初期人類の移動を駆動した後期更新世の気候要因

人類移動:気候に駆動された人類の移動

 ホモ・サピエンス(Homo sapiens)が、アフリカで進化を遂げた後に、アフリカを出て他の地域へと分散した時期は議論の種となってきた。今回、A TimmermannおよびT Friedrichは、過去12万5000年にわたる気候および海水準の大規模な変化の影響を加味して、初期人類の分散をモデル化した。その結果、アラビア半島およびレバント地方を経由する分散が、1回の事象ではなく、10万6000~2万9000年前に4回の波に分かれて起きていたことが示唆された。今回の結果は考古学的データとも符合しており、軌道変化の時間スケールでの全球的な気候変動が人口の移動に重要な役割を果たしたのに対し、1000年スケールでの急激な気候変動の影響はより局地的なものに限られていたことを示している。



参考文献:
Timmermann A, and Friedrich T.(2016): Late Pleistocene climate drivers of early human migration. Nature, 538, 7623, 92–95.
http://dx.doi.org/10.1038/nature19365

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