保守派とリベラル派の科学書の読書傾向の違い

 これは6月10日分の記事として掲載しておきます。保守派とリベラル派の科学書の読書傾向の違いに関する研究(Shi et al., 2017)が公表されました。自らの政治的信念に合致する狭い範囲の情報にのみ曝される、「反響室」や「フィルターバブル」と呼ばれる現象は、両極端に位置する政党に共鳴するそれぞれの人々の相互理解を妨げる恐れがあることから、政治学において懸念が高まっています。この研究は、世界最大級の二つのオンライン書籍小売業者の購入履歴を解析することで、実験室外において同問題を調べた数少ない研究の一つについて報告しています。この研究は、「共購買ネットワーク」を構築し、どのジャンルの科学書が「保守派」寄り、または「リベラル派」寄りの政治関連本とともに購入されているかを解析しました。

 その結果、さまざまな科学の主題に対する関心に全般的に明らかな差があるだけでなく、保守派とリベラル派が同じ主題のなかでも異なる本を選ぶことが明らかになりました。たとえば、リベラル寄りの書籍の購入者は、物理学や天文学などの基礎科学系の本を好むのに対し、保守寄りの書籍の購入者は、犯罪学や地球物理学などの応用科学系の本を好むことが示されています。この研究は、「反響室/フィルターバブル」への選択的曝露を減じ、政治的議論への科学の寄与を回復させ、党派的な熱狂を鎮めるためには、さらなる研究が必要なことが明らかになった、との見解を提示しています。

 この研究について、政治学者のボルセン(Toby Bolsen)博士は、こうした行動パターンは、科学および政治の異なる情報源の党派的な選択が、自身の見解を強化する自分と似たような考えを持つ他者の見解へと自らを選択的に曝す「反響室」へ至りかねないという、より強い懸念と軌を一にする、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


保守派とリベラル派が読む科学書は異なる

 政治関係の書籍を購入する米国の保守派またはリベラル派の人々は、科学書に対する関心は全般的に同等なものの、同じジャンルの科学書を手に取るわけでは必ずしもないという報告が、今週のオンライン版に掲載される。オンラインでの書籍購入を数百万件にわたって解析した結果、消費者の選択には大きな差があることが判明し、リベラル寄りの書籍の購入者は、物理学や天文学などの基礎科学系の本を好むのに対し、保守寄りの書籍の購入者は、犯罪学や地球物理学などの応用科学系の本を好むことが明らかとなった。

 自らの政治的信念に合致する狭い範囲の情報にのみ曝される、「反響室」や「フィルターバブル」と呼ばれる現象は、両極端に位置する政党に共鳴するそれぞれの人々の相互理解を妨げる恐れがあることから、政治学において懸念が高まっている。

 Michael MacyとJames Evansの研究グループは、世界最大級の2つのオンライン書籍小売業者の購入履歴を解析することで、実験室外において同問題を調べた数少ない研究の一つについて報告している。研究グループは、「共購買ネットワーク」を構築して、どのジャンルの科学書が「保守派」寄り、または「リベラル派」寄りの政治関連本とともに購入されているかを解析した。その結果、さまざまな科学の主題に対する関心に全般的に明らかな差があるだけでなく、保守派とリベラル派が同じ主題のなかでも異なる本を選ぶことが判明した。

 そして、「反響室/フィルターバブル」への選択的曝露を減じ、政治的議論への科学の寄与を回復させ、党派的な熱狂を鎮めるためには、さらなる研究が必要なことが明らかになったと研究グループは結論している。

 関連するNews & Viewsの記事では、「今回の研究で見出された行動パターンは、科学および政治の異なる情報源の党派的な選択が、例えば人が、自身の見解を強化する自分と似たような考えを持つ他者の見解へと自らを選択的に曝す「反響室」へ至りかねないという、より強い懸念と軌を一にする」と政治学者のToby Bolsenが述べている。



参考文献:
Shi F. et al.(2017): Millions of online book co-purchases reveal partisan differences in the consumption of science. Nature Human Behaviour, 1, 0079.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-017-0079

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