Mark Adams『アトランティスへの旅 失われた大陸を求めて』

 これは7月16日分の記事として掲載しておきます。マーク=アダムス(Mark Adams)著、森夏樹訳で、白水社より2015年12月に刊行されました。もう10年以上前にこのブログで述べましたが、欧米社会におけるアトランティスへの関心は今でも強いようで、さまざまな本が刊行されたり、新説が提示されたりしています。その記事にて、「アマチュアだけではなく、アカデミズムの側からの発言もあります」と述べましたが、アカデミズム側からの発言は基本的に冷ややかなもので、アトランティスの探索に熱心なのはアマチュア側のようです。

 確かに、アトランティスはオカルト的な関心で取り上げられることも多く、現代に匹敵するか現代を凌駕するような水準の技術を有していたとか、地球外知的生命体が関与していたとか、荒唐無稽な内容のものが少なくないので、アカデミズムの側がアトランティスの探索を警戒するのも無理のないことでしょう。本書はそうした荒唐無稽な見解とは距離を置き、アトランティス探索に熱心な人々(アトラントロジスト)を取材し、アトランティスの「真相」に迫ろうとします。

 著者はいくつかの有力なアトランティス候補地をじっさいに訪ね、現地で探索を続けるアトラントロジストたちと会って話を聞いています。本書を読むと、「正統派」からは胡散臭いと思われていることの多いアトランティス探索だけに、アトラントロジストには変人というか個性的な人が多いように思われます。しかし、それだけにアトランティス探索にかける情熱が本物であることも伝わってきて、その意味では感銘を受けました。

 本書はアトランティスの有力候補地を複数じっさいに訪れ、アトラントロジストを取材し、関連文献を再検証して、アトランティス探索の近年の「成果」を堅実にまとめている、と言えるでしょう。アトランティスについて興味のある人には一読の価値があると思います。本書を読んだのは、今でも『イリヤッド』の影響で、アトランティスへの関心が以前ほどではないにしても持続しているからなのですが、本書の結論は『イリヤッド』の結末と通ずるところがあります。本書を読んで、『イリヤッド』を最初から再読したくなりました。

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