女王バチの新コロニー形成を妨げるネオニコチノイド

 これは8月24日分の記事として掲載しておきます。ネオニコチノイドが女王バチの新コロニー形成への影響に関する研究(Baron et al., 2017)が公表されました。ネオニコチノイド系殺虫剤は、ミツバチのコロニー(関連記事)や野生ミツバチ(関連記事)に影響を及ぼす可能性が指摘されています。そのため、EUはその使用を凍結することにしています。しかし、ハチの個体またはコロニーに対するネオニコチノイドの有害な作用と個体群レベルの衰退との関係は、まだ充分には理解されていません。

 この研究は、セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)の女王バチを、野外で実際に使用される量のネオニコチノイド「チアメトキサム」に曝露しました。その結果、新たなコロニーを形成するタイミングが変化し、産卵する女王バチの数が26%減少したことが明らかになりました。次に、数理モデリングを用いて、この26%の減少が個体群全体に与える影響を予測すると、大規模なチアメトキサムの使用後に個体群が崩壊する可能性が28%以上あることが明らかになりました。

 コロニー形成はハチの生活環の中の重要な段階で、こうした知見は、この段階がネオニコチノイドの悪影響に対して特に敏感であることを示しています。この研究は、今回観察された産卵の減少が野外でのコロニーの繁栄と個体群の動態に与える長期的な影響を調べるため、さらに研究を進める必要がある、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


ネオニコチノイドは女王バチの新コロニー形成を妨げる

 一般的なネオニコチノイド農薬に曝露されたマルハナバチの女王バチは、新しいコロニーを形成する能力が低く、そのことは野生個体群の崩壊につながる可能性があるという論文が、今週オンライン掲載される。

 ネオニコチノイド農薬は農業で広く使用されているが、近年、それは実験室での研究でも野外試験でもハチ個体群の衰退と関係付けられ、EUはその使用を凍結することとなった。しかし、ハチの個体またはコロニーに対するネオニコチノイドの有害な作用と個体群レベルの衰退との関係は、いまだ十分には理解されていない。

 Gemma Baronたちは、セイヨウオオマルハナバチ(Bombus terrestris)の女王バチを、野外で実際に使用される量のネオニコチノイド「チアメトキサム」に曝露した。その結果、新たなコロニーを形成するタイミングが変化し、産卵する女王バチの数が26%減少したことが明らかになった。次に、数理モデリングを用いて、この26%の減少が個体群全体に与える影響を予測すると、大規模なチアメトキサムの使用後に個体群が崩壊する可能性が28%以上あることが分かった。

 コロニー形成はハチの生活環の中の重要な段階であり、今回の結果は、この段階がネオニコチノイドの悪影響に対して特に敏感であることを示している。研究チームは、今回観察された産卵の減少が野外でのコロニーの繁栄と個体群の動態に与える長期的な影響を調べるため、さらに研究を進める必要があると述べている。



参考文献:
Baron GL. et al.(2017): Pesticide reduces bumblebee colony initiation and increases probability of population extinction. Nature Ecology & Evolution, 1, 1308–1316.
http://dx.doi.org/10.1038/s41559-017-0260-1

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