渡辺克義『物語 ポーランドの歴史 東欧の「大国」の苦難と再生』

 これは10月22日分の記事として掲載しておきます。中公新書の一冊として、中央公論新社から2017年7月に刊行されました。本書は10世紀後半~現代までのポーランド史を概観しています。ポーランド映画への言及は多めなのですが、政治史が主体で、文化史・経済史は少なく、社会構造への言及はきわめて少なくなっています。ポーランドの通史なのですから、もう少し幅広く取り上げられていてもよいのではないか、とも思いますが、「物語」としての通史という企画意図なのでしょうから、政治史が主体となるのは仕方のないところでしょうか。

 日本でのポーランドの印象というと、ドイツ(プロイセン)・ロシア(ソ連)・オーストリア(ハプスブルク帝国)といった周辺の大国に翻弄・侵略され続けた国、となるかもしれませんが、本書は、中世ヨーロッパにおいてポーランドが大国だったことを指摘しています。近世になってポーランドの政治・社会は混迷していき、やがてプロイセン・オーストリア・ロシアにより分割されて国は消滅します。本書を読むと、国が滅亡して以降、ポーランドでたびたび独立運動が起き、独立への情熱が(少なくとも一定以上の人々の間で)根強く続いていたことが印象に残ります。

 本書は第一次世界大戦前にもそれなりの分量を割いていますが、著者の専門を反映しているのか、第一次世界大戦後から第二次世界大戦の終結までの期間が最も詳しくなっています。この間、ポーランドは独立したものの、第二次世界大戦の勃発とともにドイツとソ連により分割支配され、再び独立を喪失します。1944年のワルシャワ蜂起の評価については、かなり詳しく解説されていますが、本書のワルシャワ蜂起への評価は、どちらかというと冷淡です。

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