水資源保全対策における文化の違い

 これは11月18日分の記事として掲載しておきます。水資源保全対策における文化の違いに関する研究(Castilla-Rho et al., 2017)が公表されました。地下水は、気候変動に直面する世界の食糧安全保障と、数百万世帯の農村生活の維持に重要です。農業のための水資源の濫用は世界中で深刻に懸念されていますが、地下水利用者による保全政策への遵守を促すものが何かということについては、ほとんど分かっていません。地下水保全のモニタリングおよび執行は長い時間とコストを要し、政治的に困難な側面があります。文化によって異なる考え方を理解することは、費用効果の高い管理法の立案において重要です。

 この研究は、農民による灌漑のための地下水利用を、地下水の汲み上げの抑制が必要な3地域(オーストラリアのマレーダーリング盆地、アメリカ合衆国カリフォルニア州のセントラルバレー、インド・パキスタン国境付近のパンジャーブ地方)を対象にモデル化を行ないました。さまざまな地域における協力および法令遵守に対する社会的態度に関するデータを集めた結果、パンジャーブ地方のような協力的とされる文化においては強い懲罰的な手段が有効であるものの、マレーダーリング盆地やセントラルバレーのように個人主義がより強いとされる文化では、懲罰的な手段はそれほど有効ではない、と明らかになりました。

 この研究は、地下水の保全に対する社会規範を変化させる最も有効な介入法は、ロールモデルとなる法令遵守者の数を集団中に増やすことである、と明らかにしましたが、社会における受け入れの規模を変えるために必要な法令遵守者の数は地域差が大きい、とも指摘しています。この研究は、同様のモデルは水産物や森林といった他の共有天然資源にも適用できる、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


水資源保全の文化を理解する

 水資源の保全法に対する人々の反応に文化の違いがどのように影響するかということと、そうした知見を踏まえて各国の文化に適した有効な介入手段を見つける方法が、今週のオンライン版に掲載された論文で報告されている。

 地下水は、気候変動に直面する世界の食糧安全保障、および数百万世帯の農村生活の維持に重要である。農業のための水資源の濫用は世界中で深刻に懸念されているが、地下水利用者による保全政策への遵守を促すものが何かということについてはほとんど分かっていない。地下水保全のモニタリングおよび執行は長い時間を要し、コストを要し、政治的に困難な側面がある。文化によって異なる考え方を理解することは、費用効果の高い管理法の立案においてカギとなる。

 Juan Carlos Castilla-Rhoの研究チームは、農民による灌漑のための地下水利用を、地下水の汲み上げの抑制が必要な3つの地域(オーストラリアのマレー・ダーリング盆地、米国カリフォルニア州のセントラル・バレー、インド・パキスタン国境付近のパンジャーブ地方)を対象にモデル化を行った。さまざまな地域における協力および法令遵守に対する社会的態度に関するデータを集めた結果、協力的な文化(パンジャーブ地方)においては強い懲罰的な手段が有効であるが、個人主義のより強い文化(米国やオーストラリア)においては、懲罰的な手段はそれほど有効ではないことが分かった。研究チームは、地下水の保全に対する社会規範を変化させる最も有効な介入法は、ロールモデルとなる法令遵守者の数を集団中に増やすことであることを見出したが、社会における受け入れの規模を変えるために必要な法令遵守者の数は地域差が大きい。研究チームは、同様のモデルは、水産物や森林といった他の共有天然資源にも適用できると結論している。



参考文献:
Castilla-Rho JC. et al.(2017): Social tipping points in global groundwater management. Nature Human Behaviour, 1, 640–649.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-017-0181-7

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