NHKスペシャル『人類誕生』第1集「こうしてヒトが生まれた」

 これは4月10日分の記事として掲載しておきます。2018年4月18日放送分の感想です。『人類誕生』は3回構成とのことで、今回は直立二足歩行の始まりから現生人類(Homo sapiens)の出現までが取り上げられました。今回は全体的に、人類が逆境下でいかに生き残ってきたのか、という観点からの解説になっていました。50分弱の一般向け番組で最初期の人類から現生人類の出現までを扱うということで、かなり単純化・簡略化されたのは仕方のないところだと思います。NHKらしい迫力のあるCGはなかなかよかったと思います。

 人類の直立二足歩行の始まりの頃は証拠が少ないため議論が続いており、その状況は今後もかわらないでしょう。そのため、雄が食料を獲得して手に持って雌に運ぶ、ということを直立二足歩行定着の選択圧であるかのように描いた今回の内容に、批判的な視聴者は少なくないかもしれません。しかし、上述したように、時間的制限のあるなか、複数の見解を取り上げるのは難しかったでしょうから、有力説の一つのみを紹介するのも仕方のないところかな、とは思います。

 石器製作の始まりに関しても同様で、今回はホモ属の出現以降のこととされていましたが、現時点では、ホモ属出現のずっと前の330万年前頃までに石器製作は始まっていた、と考えるのが妥当だと思われます(関連記事)。ただ、330万年前頃の石器が後のホモ属の石器と連続的なのか、まだ確証はありません。人類は古くから石を使用しており、350万年前頃には石器を製作するようになったものの、それは継続せず、(何度も)断絶した後に、260万年前頃になって完新世まで技術的につながるような石器が初めて出現した、とも考えられます。ただ、一般向け番組で時間的制約があることを考えると、330万年前頃の石器に触れなかったのは、とくに問題ないと思います。

 逆境下にあった初期現生人類が生き残った一因として、海の貝を食べたことが挙げられており、未知なるものへと挑む現生人類の認知能力として高く評価されていました。確かに、未知なるものへと挑む現生人類の好奇心・挑戦心は、現生人類がアフリカから世界中に拡散するうえで重要な役割を果たしたのでしょうが、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)に関しても、15万年前頃に貝を恒常的に食べていた可能性が指摘されています(関連記事)。貝を恒常的に食べていたことは、他系統の人類と比較しての現生人類の特異的な行動とは言えず、時間的制約があったとはいえ、やや疑問の残った解説でした。本当はもっと色々と述べたいところですが、負傷療養中なので、ここまでにしておきます。

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