世論調査の信頼性

 これは4月13日分の記事として掲載しておきます。世論調査の信頼性に関する研究(Jennings, and Wlezien., 2018)が公表されました。2015年のイギリス総選挙や2016年のアメリカ合衆国大統領選挙などの事例から、近年では世論調査の信頼性が低下し、世論調査が事業として危機的状況にあるのではないか、と懸念されるようになりました。しかし、この研究は、1942~2017年における45ヶ国351回の選挙に関連する3万件の全国世論調査を分析した結果、そうした懸念が杞憂である、と指摘しています。

 分析の結果、調査の誤りは過去数十年間でほぼ同程度で、予測が外れた割合はは平均して約2%でした。さらに、世論調査の精度には、長い目で見ればわずかだが徐々に(統計的有意に)上昇していることも明らかになりました。この研究は、世論調査に誤りがないと主張しているわけではなく、予想を大きく外す調査があることは認めています。それでも、この研究の分析からは、投票予測の精度が危機的状況に瀕しているという主張を裏づける証拠はない、と示されています。世論調査機関は、過去20年間で調査回答率が劇的に減少していることなど、現在直面している問題にたいしてうまく適応しつつある、とこの研究は示唆しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


選挙前の世論調査は当てにならないか?

 一般通念に反し、昨今の選挙前の世論調査の精度は特別悪いということはなく、むしろ、調査の誤りの平均値は小さくなりつつあることを報告する論文が、今週掲載される。

 世論調査機関は、2015年の英国総選挙でも2016年の米国大統領選挙でも、厳しい批判にさらされ、世論調査が事業として危機的状況にあるのではないか、また世論調査がますます信頼できないものとなっているのではないかと広く懸念された。

 しかし、Will JenningsとChristopher Wlezienは、こうした懸念は正しくないと指摘している。彼らは、1942~2017年における45か国351回に及ぶ総選挙に関連する3万件の全国世論調査を分析した。その結果、調査の誤りは、過去数十年間でほぼ同程度であり、予測が外れた割合はは平均して約2%であった。さらに、世論調査の精度には、長い目で見ればわずかだが徐々に(統計的有意に)上昇していることが見いだされた。

 研究チームは世論調査に誤りがないと主張しているわけではなく、予想を大きく外す調査があることは認めている。それでも、今回の結果は、投票予測の精度が危機的状況に瀕しているという主張を裏付ける証拠はないことを示している。世論調査機関は、現在直面している問題(例えば、過去20年間で調査回答率が劇的に減少していることなど)に対してうまく適応しつつあると、研究チームは示唆している。



参考文献:
Jennings W, and Wlezien C.(2018): Election polling errors across time and space. Nature Human Behaviour, 2, 276–283.
http://dx.doi.org/10.1038/s41562-018-0315-6

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