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zoom RSS 最終氷期極大期の開始時における氷床形成の詳細

<<   作成日時 : 2018/07/26 17:00   >>

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 最終氷期極大期の開始時における氷床形成の詳細に関する研究(Yokoyama et al., 2018)が公表されました。最終氷期の終結前、約1万年間継続した最終氷期極大期は、地球の最近の気候史において最も寒冷な期間でした。最終氷期極大期には、完新世と比較して、大気中の二酸化炭素は約100 ppm、熱帯の海面水温は約3〜5°C低いと推測されています。最終氷期極大期は、約31000年前に全球の平均海水準(GMSL)が突然約40 m低くなったときに始まり、約1万年間の急速な氷床融解によって幕を閉じ、完新世に至りました。

 最終氷期極大期から完新世への遷移を記述し、将来の氷床や気候の変化を予測するために構築された気候モデルは、融解する極域の氷床の質量と、海洋の体積ひいてはGMSLの変化により制約されます。しかし、この遷移の変化率・タイミング・規模はまだよく分かっていません。本論文は、グレートバリアリーフの大陸棚外縁における海水準が、21900〜20500年前の間に約20 m低下し、現在の水準よりも118 m低かったことを示します。

 この知見は、サンゴとサンゴモ群落の化石の回収と放射年代測定に基づいており、GMSLではなくグレートバリアリーフの相対的な海水準を示しています。相対的な海水準は、その後の約4000年間に年間約3.5 mmの変化率で上昇しました。この上昇はこれまで報告されている19000年前の温暖化と一致しますが、本論文は、その直前に相対的な海水準が20 m低下し、関連して全球の氷体積が増加していたことを示します。グレートバリアリーフは、かつて氷床に覆われていた地域から離れており、地殻活動の小さな場所にあるため、この記録の詳細な構造は確実性がきわめて高い、と言えます。

 さらに、このグレートバリアリーフの相対的な海水準は、氷や水の荷重の地域的な変化に対する地球の応答の影響を受け、GMSLとは大きく異なる可能性があります。そこで本論文は、氷河性地殻均衡モデルを用いてGMSLを導出し、最終氷期極大期のピークは、GMSLが現在よりも約125〜130 m低く極小となった20500年前だったことを見いだしました。最終氷期の気候変動および海水準の変化は、現生人類(Homo sapiens)の動向にも大きな影響を与えたでしょうから、さらに精密な研究の進展が期待されます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古気候学:最終氷期極大期に至る急速な氷床形成と2つの段階を経た海水準の低下

古気候学:最終氷期極大期に至る急速な氷床形成と2つの段階を経た海水準の低下

 最終氷期極大期には、氷床は現在より広がっており、結果として、全球平均海水準は現在より100 m以上低かった。しかし、我々が有する最大氷河作用の記録は、未完全である。今回、横山祐典(東京大学ほか)たちは、グレートバリアリーフの大陸棚から得られたサンゴの記録と氷河性地殻均衡の調整のモデルを組み合わせて、125〜130 mの低下という海水準の極小期の前に、海水準の約20 mの急激な低下とそれに続く約15 mの上昇があったことを示している。この知見は、ほぼ寒冷だった氷期における氷床の発達と海水準上昇の複雑な歴史を明らかにしている。



参考文献:
Yokoyama Y. et al.(2018): Rapid glaciation and a two-step sea level plunge into the Last Glacial Maximum. Nature, 559, 7715, 603–607.
https://dx.doi.org/10.1038/s41586-018-0335-4

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