コアラのゲノム解析

 コアラのゲノム解析結果を報告した研究(Nagel et al., 2018)が報道されました。本論文は、ロングリード塩基配列解読技術と光学マッピングを用いて、コアラの高品質ゲノムを組み立てました。これは、有袋類のゲノム塩基配列としては、これまでに記録されたものの中で最も完全なものとなります。ゲノム解析の結果、コアラでは解毒酵素に関連する遺伝子ファミリーの拡大が見られる、と明らかになりました。これによりコアラは、フェノールを豊富に含むユーカリの葉を食べても生きていくことができます。さらに本論文は、栄養価が最も高く、水分を多く含む葉を選び出すために役立つコアラの嗅覚受容体遺伝子と味覚受容体遺伝子の目録を作成しました。

 また本論文は、免疫遺伝子クラスターについて包括的なアノテーションも実施し、これにより、コアラ集団に一般的に見られるクラミジア感染症に関する研究が可能になるかもしれません。コアラは、生息地の減少・集団の分断化・疾患感受性がいずれも顕著になり、脅威にさらされています。本論文の知見から、コアラの過去の個体数動態を再構築し、現在の集団内の多様性を評価することが可能となります。コアラのゲノムは、今後のコアラの保全活動を形作る際に利用できる内容豊富な情報源と言えます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


ゲノミクスでコアラを絶滅から守る

 コアラのゲノム塩基配列について報告する論文が、今週掲載される。このデータは、有袋類のゲノム塩基配列として、これまでに記録されたものの中で最も完全なもので、コアラの独特な生物学的性質を解明する上で手掛かりとなる。また、コアラが発症する疾患の治療に役立ち、コアラの保全活動にとって有益な情報となる可能性もある。

 今回、Rebecca Johnsonたちの研究グループは、ロングリード塩基配列解読技術と光学マッピングを用いてコアラの高品質ゲノムを組み立てた。その結果、このゲノムでは解毒酵素に関連する遺伝子ファミリーの拡大が見られることが明らかになった。これによってコアラは、フェノールを豊富に含むユーカリの葉を食べても生きていくことができる。次に、Johnsonたちは、栄養価が最も高く、水分を多く含む葉を選び出すために役立つコアラの嗅覚受容体遺伝子と味覚受容体遺伝子の目録を作成した。また、免疫遺伝子クラスターについて包括的なアノテーションも実施し、これによってコアラ集団に一般的に見られるクラミジア感染症に関する研究が可能になるかもしれない。

 コアラは、生息地の減少、集団の分断化、疾患感受性がいずれも顕著になり、脅威にさらされている。今回の知見から、コアラの過去の個体数動態を再構築し、現在の集団内の多様性を評価することが可能となる。今回発表されたコアラのゲノムは、今後のコアラの保全活動を形作る際に利用できる内容豊富な情報源と言える。



参考文献:
Nagel M. et al.(2018): Adaptation and conservation insights from the koala genome. Nature Genetics, 50, 8, 1102–1111.
https://dx.doi.org/10.1038/s41588-018-0153-5

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この記事へのコメント

2018年08月15日 18:44
こちらこそ、よろしくお願い申し上げます。

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