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zoom RSS 『卑弥呼』第4話「盟神探湯」

<<   作成日時 : 2018/10/20 14:05   >>

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 『ビッグコミックオリジナル』2018年11月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハがホオリを殺害したところで終了しました。今回は、ホオリを殺したヤノハを裁く場面から始まります。その場には、祈祷部(イノリベ)の長であるヒルメと副長であるウサメ、種智院の戦部(イクサベ)の師長であるククリ、トヨタマをはじめとして祈祷女(イノリメ)たちがいました。ヤノハはヒルメやウサメから問い質されて、その時の様子を答えます。ヤノハはククリの許可を得て、広場にて独りで剣の練習をしていたところ、東の楼観から悲鳴を聞いたので、楼観に走った、と説明します。なぜ他人を呼ばなかったのか、と問われたヤノハは、空耳かもしれないと思ったからだ、と答えます。楼観に上った時の様子を問われたヤノハは、言い淀みます。とはいっても、演技でしょうが。ヒルメに促されたヤノハは、モモソが男性に組み敷かれていた、と答えて、裁きの出席者たちは動揺します。しかしヤノハが、モモソは必死に抵抗しており、自分が男性を背中から刺し、モモソは必死で操を守っていた、と答えると、裁きの出席者たちは安心します。

 裁きが終わり、種智院の戦部では戦女(イクサメ)たちがモモソについて、2日間ずっと臥せっている、と噂をしていました。モモソはヒルメの後継者として暈(クマ)の「日の巫女」の長になるはずがとんだ災難だ、とある戦女が言うと、別の戦女が、災難どころか種智院から追われるという噂もある、と言います。不逞の輩に操を奪われたならば、二度と天照大御神は降らないからです。するとヤノハが、噂をしていた戦女の一人に頭突きをして、モモソの操は自分が守った、根も葉もない噂は許さない、と激昂して殴りかかり、周囲の戦女たちがヤノハを止めます。おそらくヤノハは、激昂したように周囲に見せることで、モモソが操を守った、と人々に信じさせたかったのでしょう。

 この暴行が原因なのか、ヤノハは営倉穴(エイソウケツ)と呼ばれる牢に入れられます。すると、モモソが来訪してヤノハに話しかけます。ヤノハは、モモソが外に出られるようになったことに安心します。モモソは、自分のために牢に入ることになったヤノハに謝罪します。ヤノハは、気にするな、くだらない噂話に負けるな、とモモソを励まします。モモソはヤノハに、私の味方はヤノハだけだ、と伝えます。ヤノハはモモソに、明後日に種智院から離れるのでしばらく会えないが、必ず戻る、と約束します。するとモモソは、ヤノハがいなくては種智院で生きていけない、と言います。お前には天照大御神がいるだろう、と言うヤノハにたいしてモモソは、継母であるヒルメに、ヤノハは天照大御神の声が聞こえると伝えてみる、と約束します。そうすると、ヤノハは祈祷女となり、生還率の低い戦柱に選ばれずにすむ、というわけです。去っていくモモソに、無理をするな、とヤノハは呼びかけますが、その表情は満足そうでした。ホオリにモモソを襲わせ、モモソを助けることで、モモソを自分に依存させる、というヤノハの思惑通りに進んでいるからなのでしょう。

 モモソは祈りを捧げているヒルメに、ヤノハについてお願いがある、と切り出します。ヒルメは養女であるモモソに、ヤノハは明日には釈放されるので安心するよう、伝えます。ヤノハは優秀な戦女なので、一人前になってもらうために早々に実戦を経験させるが、恩人なので不安なのか、とヒルメはモモソに尋ねます。するとモモソは意を決して、ヤノハには天照大御神の声が聞こえるので、祈祷女になるべき逸材だ、とヒルメに伝えます。ヒルメは驚きつつも、検討する、とモモソに返答します。ヒルメは話題を変えて、モモソの操についての悪意ある噂を打ち消すために、盟神探湯(クガタチ)に挑んでみないか、とモモソに提案し、モモソは動揺を隠せませんでしたが、了承します。

 モモソが盟神探湯に挑むという話は、種智院の者たちにあっという間に広まりました。ヤノハは盟神探湯について知らなかったので、同じ戦女のヌカデに尋ねます。盟神探湯とは神前裁判で、モモソが操を本当に守れたのか、裁かれます。盟神探湯には二つの方法があり、一つは、探湯瓮(クカベ)という釜で湯を沸騰させ、その中に両手を入れ、火傷をしなければ真で、大火傷を負えば嘘と判定される方法です。なお、古代の盟神探湯と中世の湯起請は似ているものの、断絶しているそうです(関連記事)。もう一つはもっと危険で、毒蛇を入れた壺に手を入れ、咬まれれば嘘で、咬まれねば真と判定される方法です。通常は二つ用意され、裁かれる者が好きな方を選びますが、どちらにしても無事でいられた者はいないそうです。しかし、真と出れば、モモソはは百年振りに顕われた日見子(ヒミコ)と認められるだろう、とヌカデは言います。他の戦女たちは、天照大御神が憑依した人は半神で、この世を平和にして衆生を幸せに導くと言われている、と説明します。

 モモソが盟神探湯に挑む朝を迎え、ヤノハはモモソを訪ねます。モモソは落ち着いており、天照大御神のご意思次第、とヤノハに伝えます。お前には何としても生きていてもらわねばならない、とヤノハに言われたモモソはヤノハに感謝しますが、ヒルメにヤノハのことを頼んでおいたので、自分が死んでもヤノハは祈祷女に迎え入れられるだろう、と伝えます。するとヤノハは、毒蛇の壺を選ぶよう、モモソに言います。私はお前とこの乱世を共に生き残りたいのだ、とヤノハはモモソに力強く語りかけます。

 ヒルメとウサメをはじめとして多くの祈祷女と思われる者たちが見守るなか、モモソはヤノハに言われた通り毒蛇の壺を選び、さすがにヒルメ様の後継者で豪気だ、と祈祷女たちは感心します。モモソはしばらく毒蛇の壺に両腕を入れていましたが、咬まれた様子はなく、ヒルメをはじめとして祈祷女たちは、モモソは百年振りに顕われた日見子だ、と歓喜します。実はこれには仕掛けがあり、ヤノハは炭の煙から作った木酢液をモモソに渡して、両腕に塗るよう指示していました。蛇はこの臭いを嫌うので咬まれないだろう、というわけです。モモソがヤノハに感謝し、この時点から先のヤノハが、そこまでは私の計画に寸分の狂いもなかった、と回想するところで今回は終了です。


 今回も手段を選ばないヤノハの強烈な生き様が描かれ、弥生時代を舞台とした歴史創作ものとしてだけではなく、悪漢小説的な漫画としても楽しめました。とにかく、ヤノハの生への執着は強く、社会規範に囚われない生き様は、魅力的でもあります。一方モモソは、巫女として優れた才能を見せつつも受動的なところがあり、ヤノハに依存する凡人として描かれています。しかしモモソは、ヒルメから盟神探湯を提案された時は動揺を見せていましたが、当日の朝には落ち着いた様子でしたから、やはり尋常ではない人物という設定なのでしょう。今後、モモソがどう変わっていくのか、注目されます。モモソは現時点では、自分がなぜホオリに襲われたのか、気づいていないようですが、ホオリが殺される直前に自分にたいしてヤノハと呼びかけたことから、やがて真相にたどり着くかもしれません。現時点ではヤノハに依存しきっているように見えるモモソですが、モモソが卑弥呼(日見子)になるのだとしたら、どこかでモモソはヤノハ以上の「怪物」に成長するのかもしれません。

 種智院の人々は、盟神探湯の試練を切り抜けたモモソは日見子だと認めたようですが、このままモモソが日見子と認められ、倭国をまとめるような展開にはならないでしょう。それは一つには、前回ヒルメが指摘したように、暈(クマ)の国のタケル王が、日見子の出現により日見彦としての尊厳が失われるので、日見子を殺そうとするからです。しかし、ヒルメによると、味方は隠れたところに大勢いるので心配ない、とのことで、ケル王がどう動き、種智院の人々がどう抵抗するのか、注目されます。もう一つは、現在の舞台となっているだろう暈の国はおそらく『三国志』の狗奴国で、卑弥呼と敵対していたからです。ヤノハの仕掛けが露見して、ヤノハとモモソの一方もしくは両方が暈の国から追われるような展開になるのではないか、と予想しています。そのさい、どちらかは死に、生き残った方が卑弥呼(日見子)となるのかもしれません。毎回挿入されるヤノハの回想がどの時点からのものなのか、まだ分かりませんが、意外と早くヤノハはそうした状況に追い込まれ、その危地を脱して日向(ヒムカ)へと逃亡し、モモソから得た知識を活用して卑弥呼になる、という展開も考えられます。ともかく、次回も楽しみです。

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 『ビッグコミックオリジナル』2018年11月20日号掲載分の感想です。前回は、モモソが盟神探湯の試練を切り抜け、暈(クマ)の国にある「日の巫女」集団の学舎である種智院の人々がモモソを日見子(ヒミコ)と認めるところで終了しました。今回は、種智院で戦部(イクサベ)の見習いたちが朝食中に噂話をしている場面から始まります。見習いの女性たちはモモソを百年ぶりに出現した日見子(ヒミコ)と賞賛します。しかしヌカデは、噂話をしている女性たちに忠告します。もしモモソが日見子なら、天照大御神は同時に二人の身... ...続きを見る
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2018/11/05 18:09

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