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zoom RSS 先コロンブス期アメリカ大陸は大規模に開発されていた

<<   作成日時 : 2018/10/23 16:52   >>

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 昨日(2018年10月22日)、人類が一度も居住したことがなさそうだ、と考えられていたエクアドルの雲霧林に、かつて人類が500年以上居住し、作物を栽培していた痕跡が確認された、との研究を取り上げました(関連記事)。以前は、このエクアドルの雲霧林のように、アメリカ大陸における先コロンブス期の人類の痕跡が見逃されていたことは少なくありませんでした。先コロンブス期アメリカ大陸には広大な「手つかず」の自然が広がっており、先住民は自然と「共生」していた、というわけです。しかし、『1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見』では、先住民が大規模に自然を開発し、豊かで複雑な社会を形成していた、と詳しく取り上げられています(関連記事)。同書では、北アメリカ大陸の「原生林」は必ずしも太古より存在し続けたのではなく、アメリカ大陸先住民の人口が激減し、人の手が加わらなくなったことによるところが大きく、リョコウバトやバイソンが激増したのも、先住民の人口激減による生態系の変容が原因だったのではないか、と推測されています。

 アマゾン流域に関しても、先コロンブス期には広大な「手つかず」の自然が広がっていた、との印象が強いがかもしれませんが、大規模に開発されていたことを報告した研究は少なくなく、当ブログでもこれまで何度か取り上げてきました。アマゾン川の支流の一つであるシングー(Xingu)川上流には、先コロンブス期に人口密度の高い集落が存在しており、大規模な環境開発が行なわれていた、と指摘されています(関連記事)。同じくアマゾン川の支流となる、ブラジルのタパジョース(Tapajós)川上流域でも、先コロンブス期に多数の人々が土地を開発して居住していた、と推測されています(関連記事)。こうしたアマゾン流域の諸遺跡は大規模な環境開発と複雑な社会を示唆しており、『アマゾン文明の研究』ではアマゾン流域における「文明」の存在も主張されています(関連記事)。

 このような知見は、アメリカ大陸先住民は自然と「共生」していた、との見解と整合的とは言えないかもしれません。じっさい、アメリカ大陸における更新世末期の大型動物の大量絶滅に関しては、環境要因を重視する見解もあるものの(関連記事)、やはり人為的要因が決定的だったと思われます(関連記事)。同様の事例はオーストラリア(更新世の寒冷期にはニューギニアと陸続きでサフルランドを形成していました)でも指摘されており、人類が初めて拡散してきた後期更新世に85%以上の大型動物が絶滅した、と推測されています(関連記事)。そもそも、現生人類(Homo sapiens)に限らずホモ属系統自体が、後期更新世には生態系に大きな影響を与えた可能性が指摘されています(関連記事)。

 アメリカ大陸に限らず、先住民が自然と「共生」していた、と考えることには慎重でなければならないと思います。『アマゾン文明の研究』では、アマゾン流域を大規模に開発していたモホス「文明」が、1300年頃までには衰退していた、と推測されています。アメリカ大陸の先住民もまた、環境を大規模に開発し、環境破壊の結果として衰退してしまった可能性を想定しておくべきでしょう。自然と「共生」していた、との先住民像は、先住民は素朴で単純な社会生活を送っていたことを前提としているという意味で、先住民の主体性を無視した軽蔑だと思います。それは、「障害者」を「純粋」と考えてしまうような心性とも通ずるものだと思います。私は中学生の頃に、明らかに左翼寄りだった社会科教師から、「障害者」にもずるいところがあるし、卑劣な人もおり、「健常者」と変わらないのだ、と教えられました。中学生の頃も今も、私は少なからぬ人から「ネトウヨ」と糾弾されそうではありますが(私が中学生の頃には「ネトウヨ」という言葉はありませんでしたが、もし存在した場合は、そう呼ばれても不思議ではなかった、という意味です)、その社会科教師の教えは、私にとって生きていく上での指針の一つであり続けています。

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