雑記帳

アクセスカウンタ

zoom RSS 痕跡器官の社会的調節により生じるアリ類の複雑なワーカーのカースト制

<<   作成日時 : 2018/10/25 16:37   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 アリ類の複雑なワーカーのカースト制に関する研究(Rajakumar et al., 2018)が公表されました。アリ類が有する複雑なワーカーのカースト制の起源はダーウィンを当惑させ、今でも進化生物学および発生生物学における問題であり続けています。アリ類は約1億5000万年前に出現し、有翅の女王カーストと雄カースト、および無翅のワーカーカーストからなるコロニーを形成します。

 高度に多様なオオズアリ(Pheidole)属では、無翅のワーカーカーストは、頭部が小型のマイナーワーカーと、頭部が大型の兵隊(ソルジャー)という、形態の異なる2種類のサブカーストへと進化しました。女王と雄の翅は、幼虫の翅成虫原基と呼ばれる細胞集団から発生します。マイナーワーカーおよびソルジャーは無翅ですが、ソルジャーの発生過程では翅成虫原基の痕跡が一時的に出現します。こうした痕跡的形質は系統発生学的には広く見られ、おもに共通の系統を示す証拠として用いられていますが、その機能的重要性は明確になっていません。

 この研究は、オオズアリ属において、痕跡的な翅原基の成長が、頭部と体のサイズ間のアロメトリー(相対成長に基づく非比例的成長関係)を調節して、頭部が大型のソルジャーを生じるのに必要である、と示しています。また、オオズアリ属のコロニーは、痕跡的な翅原基の成長を社会的に調節してワーカーのサブカースト決定を制御する能力を進化させており、これによってコロニーにおけるマイナーワーカーとソルジャーの比率が維持される、とも明らかになりました。さらに、痕跡的な翅原基がアリ類全般で複雑なワーカーのカースト制の平行進化を促進させたことを示唆する、比較および実験による証拠も得られました。より一般的には、こうした痕跡器官は発生過程において新たな調節機能を偶発的に獲得して、適応進化を促進させる可能性があります。


参考文献:
Rajakumar R. et al.(2018): Social regulation of a rudimentary organ generates complex worker-caste systems in ants. Nature, 562, 7728, 574–577.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0613-1

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
痕跡器官の社会的調節により生じるアリ類の複雑なワーカーのカースト制 雑記帳/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる