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zoom RSS 生態系の安定性を向上・低下させる生物多様性

<<   作成日時 : 2018/11/01 18:11   >>

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 生態系の安定性と生物多様性に関する研究(Pennekamp et al., 2018)が公表されました。種の多様性の喪失と獲得は、生態学的安定性や、生態系機能および生態系サービスの持続可能性に影響を及ぼします。実験およびモデルからは、時間的変動性・抵抗性・復元力など、安定性の個々の要素にたいして多様性が好影響や悪影響を与えたり、全く影響を与えなかったりすることが示されています。これらの安定性要素がどのようにして共変するのかは、まだほとんど理解されていません。同様に、概念的には生態系の多機能性と同類である生態系の全体的な安定性にたいして多様性が及ぼす影響についても、まだ分かっていません。

 本論文は、690の微小生態系(ミクロコスム)で40日間にわたり19回のサンプリングで計1万2939のサンプルを得るという大規模な実験を行ない、水生の繊毛虫類の群集において、時間的変動性・抵抗性・生態系の全体的な安定性がどのようにして多様性(すなわち種の豊かさ)に応答するのか、調べました。その結果、種の豊かさは時間的安定性を向上させたものの、温度上昇に対する抵抗性を低下させました。したがって、二つの安定性要素は、多様性の勾配に沿って負の共変関係を示しました。

 多様性が個々の安定性要素に対して負の影響を及ぼすことは一般に予測されていますが、これまでの生物多様性操作研究において、こうした負の共変関係が報告されたことはほとんどありませんでした。本論文の知見を生態系の多機能性の概念と統合すると、生態系の全体的安定性に多様性が及ぼす瘤型およびU字型の影響が明らかになりまし。つまり、生物多様性は、それが低い時には生態系の全体的安定性を向上させることがあるものの、それが高い時にはこうした安定性を低下させることがあり、U字型の関係ではこれらが反対になります。

 生態系の多機能性に対する多様性の影響もまた、多様性が一部の機能には好影響を与え、他の機能には悪影響を及ぼす場合には、瘤型またはU字型になると考えられます。生態系の多機能性の概念と生態系の安定性とを結びつけることは、多様性が生態系の安定性に及ぼす影響だと考えられるものを変え得るとともに、この科学的知見を政策関連の情報に変換するのに役立つ可能性があります。生態系の保全は単純に考えられるような問題ではありません。


参考文献:
Pennekamp F. et al.(2018): Biodiversity increases and decreases ecosystem stability. Nature, 563, 7729, 109–112.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0627-8

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