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zoom RSS 腸内細菌によって調節されているショウジョウバエの移動運動

<<   作成日時 : 2018/11/17 12:19   >>

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 ショウジョウバエの移動における腸内細菌の影響に関する研究(Schretter et al., 2018)が公表されました。動物行動の生物学的性質の研究はおもに中枢神経系を中心に行なわれてきた一方で、末梢組織や環境からの合図は脳の発達や機能と関連づけられてきました。腸と脳の間の双方向性のコミュニケーションが、不安・認知・痛覚・社会的相互作用などの行動に影響を及ぼすことを示す新たな証拠があります。協調的な移動運動行動は動物の生存と繁殖に不可欠で、内因性および外因性の感覚入力によって調節されています。しかし、腸内細菌叢が宿主の移動運動行動にどのような影響を及ぼすのか、また、それに関与する分子機構や細胞機構についてはほとんど分かっていません。

 この研究は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、無菌状態あるいは抗生物質投与が、過活動性の移動運動行動につながることを報告しています。腸内細菌叢の欠如による歩行速度および1日当たりの活動量の増大は、ショウジョウバエの共生細菌であるラクトバチルス属乳酸菌(Lactobacillus brevis)など、特定の細菌による単一細菌定着によって救済されました。腸内に細菌叢を持たない雌のショウジョウバエは、通常の方法で飼育されたショウジョウバエと比較して、平均歩行速度が速く、1回の歩行運動の平均所要時間が長い、というわけです。1回の歩行運動から次の歩行運動までの間隔の平均時間が短いこの乳酸菌由来の細菌酵素キシロースイソメラーゼは、ショウジョウバエの糖代謝を調節することで微生物定着のロコモーションへの影響を再現しました。

 重要なことに、キシロースイソメラーゼがショウジョウバエの移動運動行動に及ぼす影響は、オクトパミン作動性ニューロンの熱遺伝学的活性化あるいはオクトパミンの外因的投与により解消されました(オクトパミンは無脊椎動物の神経伝達物質で、脊椎動物のノルアドレナリンに相当します)。これらの知見は、これまで正当に評価されていなかった腸内細菌叢の移動運動行動調節における役割を明らかにするとともに、オクトパミン作動性ニューロンが末梢の微生物からの合図の調節因子で、これが動物の運動行動を調節する、と示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【微生物学】ショウジョウバエの移動運動は腸内細菌によって調節されている

 腸内細菌が雌のショウジョウバエの移動運動を調節しているという研究結果を報告する論文が、今週掲載される。腸内マイクロバイオームを持たないショウジョウバエは、腸内に微生物群集を持つショウジョウバエと比べて歩行速度が速く、1回の歩行運動の所要時間が長かった。また、このような移動運動に対する細菌の効果には、キシロースイソメラーゼという酵素が重要であることが明らかになった。

 最近の研究で、動物モデルの神経系の発生学的特徴と機能的特徴が腸内マイクロバイオームによって調節されていることが示唆された。しかし、移動運動に関係する神経調節物質と神経回路に対する腸内細菌の影響については、ほとんど分かっていない。

 今回、Catherine Schretterたちの研究グループは、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)を用いて、移動運動行動に寄与する宿主-マイクロバイオーム間の相互作用を調べた。腸内細菌(飼育または抗生物質処理によって作製した)を持つ個体と持たない個体の両方において、移動運動が調べられた。その結果、腸内に微生物相を持たない雌のショウジョウバエは、通常の方法で飼育されたショウジョウバエと比べて平均歩行速度が速く、1回の歩行運動の平均所要時間が長く、1回の歩行運動から次の歩行運動までの間隔の平均時間が短いことが分かった。

 また、Schretterたちは、個体の移動運動能が、腸内に存在する細菌種の違いによって異なる影響を受けるかを調べた。その結果、歩行速度が遅かったりと1日の活動量が不足したりしている場合には、ラクトバチルス属細菌(Lactobacillus brevis:ショウジョウバエのマイクロバイオームに通常含まれる)などの特定の細菌を定着させれば十分に修正できることが判明した。Schretterたちは、L. brevisが保有するキシロースイソメラーゼという酵素が運動行動の制御に重要であることを特定し、この酵素による制御が、トレハロースなどの重要な炭水化物の調節を介して行われる可能性があると示唆している。

 Schretterたちは、このような作用に関係するニューロンと神経機構を正確に特定するためにはさらなる研究が必要なことを指摘し、また、こうした移動運動に対する微生物の影響の性別特異的な側面を明確にすることが重要だと主張している。


微生物学:ショウジョウバエでは腸内微生物的な要因が移動運動行動を調節する

微生物学:ショウジョウバエでは腸内微生物相が運動を調節する

 動物の生存と繁殖にはロコモーションが不可欠であり、これは内因性および外因性の感覚入力によって調節されている。C Schretterたちは今回、腸内微生物相が存在しない状態で飼育された、あるいは抗生物質を投与されたキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)が過活動性の移動運動行動を示すことを報告している。腸内微生物相の欠如による歩行速度や1日当たりの活動量の増大は、ショウジョウバエの共生細菌である乳酸菌Lactobacillus brevisなど、特定の細菌による単一細菌定着によって救済された。L. brevis由来の酵素キシロースイソメラーゼは、ショウジョウバエの糖代謝を調節することで微生物定着がロコモーションに及ぼす影響を再現した。キシロースイソメラーゼがショウジョウバエのロコモーションに及ぼす影響は、オクトパミン作動性ニューロンの活性化あるいはオクトパミンの外因的投与で解消された(オクトパミンは無脊椎動物の神経伝達物質で、脊椎動物のノルアドレナリンに相当する)。これらの知見は、腸内マイクロバイオームが宿主のロコモーション調節において果たしている役割を明らかにするとともに、オクトパミン作動性ニューロンが末梢の微生物からの合図の調節因子であり、動物の運動行動を調節することを示している。



参考文献:
Schretter CE. et al.(2018): A gut microbial factor modulates locomotor behaviour in Drosophila. Nature, 563, 7731, 402–406.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0634-9

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