気候変動にともなう熱帯の高木の移動

 気候変動にともなう熱帯の高木の移動に関する研究(Fadrique et al., 2018)が公表されました。地球温暖化によって多くの生物種が分布域の高地への移動を余儀なくされており、その結果、特定の場所に見られる種組成が変化しています。しかし、この予測は熱帯の高木に関してはほとんど検証されていません。この研究は、アンデス山脈の森林の、33.5度を超す緯度幅(南緯26.8度~北緯7.1度)および3000 mの標高幅(海抜360~3360 m)にわたって広がる200近い区画から得られたインベントリーデータベースを用いて、熱帯および亜熱帯の高木群落について検証しました。その結果、より標高の低くてより温暖な地域に由来する種の相対的数度が、より高くなる方向へ組成を変化させている、と明らかになりました。

 こうした「好熱化(thermophilization)」現象はアンデス山脈全域に見られるものの、組成変化の速度は全ての標高で一様なわけではありません。観測された好熱化速度の不均一性は、おそらく温暖化の速度が異なることや、エコトーン(森林限界や雲霧林下限などの、異なる生息地タイプの間の移行帯)に特化した高木群落が存在していることに起因する、と考えられます。組成変化の方向と速度を決定づける要因の理解により、気候変動の熱帯林への影響の予測が改善できるとともに、そうした影響の緩和も可能になると考えられます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


気候変動生態学:気候変動に対するアンデス山脈の森林の広範だが不均一な応答

気候変動生態学:移動する熱帯の高木

 気温の上昇に伴い、多くの生物種が、より冷涼な緯度域や標高域への移動を余儀なくされている。しかし、これが熱帯の植物種にも当てはまるのかどうかは明らかにされていない。今回B Fadriqueたちは、33.5度を超す緯度幅および3000 mの標高幅にわたって広がる、2024の高木種によって構成されるアンデス山脈の森林の186区画から得られたインベントリーデータを用いて、熱帯および亜熱帯の樹木群落が、標高がより低くてより温暖な地域に由来する種の相対的数度が高くなる方向へ組成を変化させていることを明らかにしている。



参考文献:
Fadrique B. et al.(2018): Widespread but heterogeneous responses of Andean forests to climate change. Nature, 564, 7735, 207–212.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0715-9

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