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zoom RSS 行動状態に応じて変化するショウジョウバエの二酸化炭素への誘引

<<   作成日時 : 2018/12/20 17:22   >>

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 ショウジョウバエの二酸化炭素への誘引に関する研究(Breugel et al., 2018)が公表されました。二酸化炭素はさまざまな有機的過程で産生され、昆虫にとって、血液宿主や花・共同巣・果実、あるいは山火事を探索するのに都合の良い揮発性の手掛かりとなります。キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は、発酵のさいに二酸化炭素とエタノールを産生する酵母を餌としていますが、研究室内での実験では、歩行中のハエは二酸化炭素を避ける、と示されています。

 この研究は、ショウジョウバエは飛行中でも歩行中でも二酸化炭素に誘引されるものの、それは採餌に関して活動的な状態にあるときに限られる、と明らかにし、この矛盾を解決しました。低活動度レベルにおけるショウジョウバエの二酸化炭素の忌避は、二酸化炭素を探す寄生生物を避けるための、あるいは自然界に実際に存在する高濃度二酸化炭素条件において呼吸性アシドーシス(酸性血症)で死ぬことを避けるための適応かもしれません。二酸化炭素とは対照的に、ハエはどのような行動状態にある時もエタノールには誘引され、近くのエタノール探索には二酸化炭素に比べて2倍の時間を費やします。

 このような行動の違いは、エタノールは酵母の発酵に固有のシグネチャーであるのに対して、二酸化炭素は多くの自然過程で生じるという事実を反映しています。この研究はさらに遺伝的ツールを用いて、二酸化炭素への誘引には、進化的によく保存されたイオンチャネル型補助受容体IR25aが必要で、二酸化炭素の忌避に必要な受容体はこの誘引には関わらない、と明らかにしました。この研究は、ショウジョウバエにおける、状態に依存した意思決定とにおい物質に依存した意思決定を司る神経回路の解明に向けた、今後の研究の基盤となりそうです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


神経科学:ショウジョウバエでは異なった活動度依存性経路がCO2への誘引と忌避に関与する

神経科学:ショウジョウバエのCO2への誘引は行動状態に応じて変化する

 キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)は酵母を餌とし、酵母は腐りかけの植物質で増殖して発酵中に二酸化炭素(CO2)とエタノールを放出するが、実験室実験では、ショウジョウバエはCO2を忌避することが示されている。今回M Dickinsonたちは、飛行中のショウジョウバエと歩行中のショウジョウバエはどちらも、採餌に関して活動的な状態にあるときにはCO2に誘引されるが、活動レベルの低い状態にあるときにはCO2を忌避することを明らかにし、ハエの行動の矛盾を解決した。この忌避行動は、おそらく呼吸性アシドーシスを避けるためか、CO2を探す寄生生物を避けるためと思われる。対照的に、どのような行動状態にあるときでも、ハエはエタノールに誘引される。エタノールは酵母の発酵に固有のシグネチャーであるが、CO2は、酵母以外の多くの自然過程でも発生するからである。



参考文献:
Breugel F, Huda A, and Dickinson MH.(2018): Distinct activity-gated pathways mediate attraction and aversion to CO2 in Drosophila. Nature, 564, 7736, 420–424.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0732-8

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