マウスの関節の再生

 マウスの関節の再生に関する研究(Yu et al., 2019)が公表されました。哺乳類の再生能力は低く、切断創や外傷が生じると、通常はその部位に瘢痕組織が形成されます。先行研究では、骨形成タンパク質(BMP)2という増殖因子でマウス指の切断創を処置すると、骨断端の伸長が促されると明らかになっていますが、関節やその他の骨格要素の再生は起きませんでした。

 この研究は、マウスに別の増殖因子BMP9を用いた処置を行なうことで、関節軟骨に覆われた骨格要素と滑液腔からなる関節構造の形成が促された、と報告しています。ただし、この過程において、滑液腔の形成を開始させるためには、細胞がPrg4遺伝子を発現している必要がある、と明らかになりました。また、この研究は、切断創をBMP2とBMP9で連続的に処置すると、骨細胞と関節細胞の形成につながることも明らかにしました。この研究は一連の知見から、哺乳類の切断創の細胞には関節再生能力とそのための情報が保持されているという証拠が得られた、と主張しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【健康科学】マウスの関節の再生

 関節を損傷したマウスに対して、いくつかの増殖因子を組み合わせて関節の再生を促す方法について報告する論文が、今週掲載される。

 哺乳類の再生能力は低く、切断創や外傷が生じると、その部位に瘢痕組織が形成されるのが通例だ。先行研究では、マウスで、指の切断創を骨形成タンパク質(BMP)2という増殖因子を用いて処置すると骨断端の伸長が促されることが明らかになったが、関節やその他の骨格要素の再生は起こらなかった。

 今回、Ken Muneokaたちの研究グループは、マウスに別の増殖因子BMP9を用いた処置を行うことで、関節軟骨に覆われた骨格要素と滑液腔からなる関節構造の形成が促されたことを報告している。ただし、この過程において、滑液腔の形成を開始させるためには、細胞がPrg4遺伝子を発現している必要があることが分かった。また、Muneokaたちは、切断創をBMP2とBMP9で連続的に処置すると、骨細胞と関節細胞の形成につながることも明らかにした。

 Muneokaたちは、今回の研究によって、哺乳類の切断創の細胞には関節再生能力とそのための情報が保持されているという証拠が得られたと主張している。



参考文献:
Yu L. et al.(2019):BMP9 stimulates joint regeneration at digit amputation wounds in mice. Nature Communications, 10, 424.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08278-4

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