地球最古の菌類

 地球で最古かもしれない菌類についての研究(Loron et al., 2019)が公表されました。菌類は現代の生態系の重要な構成要素で、陸上での最初の生命の徴候と関連しています。しかし、これまで明確な菌類化石の最古の年代は約4億年前で、古生代中期より古い菌類の化石記録は存在していませんでした。この研究は、カナダ北極域のノースウエスト準州にあるグラッシーベイ累層から出土し、河口性の頁岩に保存されていた有機壁を持つ約10億~9億年前の微化石(Ourasphaira giraldae)標本について報告しています。

 この研究は、分離菌糸を同定して、微化石標本の細胞壁にキチン(菌類の細胞壁を形成する繊維状物質)が存在していると明らかにし、この微化石の構造が菌類に特徴的と結論づけています。この新知見は、地質学的記録に残された最古のキチンを示しています。また、この知見により、オピストコンタ(動物と菌類が含まれるクラウン群真核生物)の出現時期がじゅうらいの推定よりもずっと前にさかのぼることも明らかになりました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【化石】地球に初めて出現した菌類?

 カナダ北極域の頁岩層に保存されていた大量の化石菌類が、10億~9億年前のものと年代決定されたことを報告する論文が、今週掲載される。先行研究では、明確な地球最古の菌類の化石記録の年代は少なくとも4億年前であるという測定結果が得られていたが、今回の知見によって原生代中期までさかのぼることとなった。

 菌類は現代の生態系の重要な構成要素であり、陸上での最初の生命の徴候と関連している。それにもかかわらず、約4億年前の古生代中期より古い菌類の化石記録は存在していなかった。

 今回、Corentin Loronたちの研究グループは、カナダのノースウエスト準州にあるグラッシーベイ累層から出土した河口性の頁岩に保存されていた有機壁を持つ微化石Ourasphaira giraldaeの標本について報告している。Loronたちは、分離菌糸を同定して、微化石標本の細胞壁にキチン(菌類の細胞壁を形成する繊維状物質)が存在していることを明らかにし、これによってO. giraldaeの構造が菌類に特徴的なものだと結論付けている。この新知見は、地質学的記録に残された最古のキチンを示している。また、この知見によって、オピストコンタ(動物と菌類が含まれるクラウン群真核生物)の出現時期はこれまで考えられていたよりもずっと前にさかのぼることになった。


古生物学:カナダ北極域で見つかった原生代の初期菌類

古生物学:最初の菌類

 菌類の化石記録における最初の明確な記録は、陸上に生命が存在したことを示す最初のしるしと結び付けられていて、これは約4億年前の頁岩に存在する。C Loronたちは今回、菌類の化石記録を原生代の中期にまでさかのぼらせた。これは、カナダ北極域の10億~9億年前の頁岩中に保存されていた、有機物からなる細胞壁を持つ多細胞生物の微化石の大量の記録によるものである。これらの微化石はOurasphaira giraldaeのもので、その形態は菌類の特徴を示していて、複数に分枝した有隔菌糸を持ち、キチンの存在が明らかになった。これはキチンの存在を示す最古の地質学的記録で、菌類との類似性を強く示している。この記録はまた、オピストコンタ(後生動物、菌類とそれらに類縁の原生生物から構成される)の起源を原生代にまでさかのぼらせるものである。



参考文献:
Loron CC. et al.(2019): Early fungi from the Proterozoic era in Arctic Canada. Nature, 570, 7760, 232–235.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1217-0

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