マウスの骨からウランを除去する化合物

 マウスの骨からウランを除去する化合物に関する研究(Wang et al., 2019)が公表されました。ウランは原子力発電にとって重要な資源ですが、放射性毒性と化学毒性のために健康へのリスクがあります。被曝後にウランの約2/3は腎臓を介して体外に除去されますが、残りは腎臓と骨に留まり、腎臓の損傷や骨欠損および癌のリスク増加を引き起こす可能性があります。体内に吸収されたウランの除去は、キレート剤と呼ばれる分子を使用すると実現可能ですが、既存の製剤は骨からウランを効率的に除去できず、毒性が高いものもあります。

 この研究は、既存のヒドロキシピリジノンを基にしたキレート剤を改良し、骨中のウラン錯体との親和性が向上したキレート剤を作製しました。この研究は、作製されたキレート剤がマウスの腎臓と骨からウランを効率的に除去でき、他のキレート剤と比較して毒性が低いことを実証し、さらに、この化合物を経口投与した場合にも有効性が維持されることを明らかにしました。これは、この研究で作製されたキレート剤がウランに被曝したヒトに使用できる薬剤として有望視される可能性を示唆していますが、今後さらなる試験の必要がある、と指摘されています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【医学研究】マウスの骨からウランを除去する化合物

 放射性元素のウランに被曝したマウスの骨と腎臓からウランを除去できる化学薬品について報告する論文が、今週掲載される。この結果は、この化合物がウランに被曝したヒトに使用できる薬剤として有望視される可能性を示唆しているが、今後さらなる試験を行う必要がある。

 ウランは原子力発電にとって重要な資源だが、放射性毒性と化学毒性のために健康へのリスクがある。被曝後にウランの約2/3は腎臓を介して体外に除去されるが、残りは腎臓と骨に残存し、腎臓の損傷や骨欠損とがんのリスク増加を引き起こす可能性がある。体内に吸収されたウランの除去は、キレート剤と呼ばれる分子を使用すると実現可能だが、既存の製剤は、骨からウランを効率的に除去できず、毒性が高いものもある。

 今回、Shuao Wangたちの研究グループは、既存のヒドロキシピリジノンを基にしたキレート剤を改良して、骨中のウラン錯体との親和性が向上したキレート剤を作製した。Wangたちは、このキレート剤がマウスの腎臓と骨からウランを効率的に除去でき、他のキレート剤と比較して毒性が低いことを実証し、さらに、この化合物を経口投与した場合にも有効性が維持されることを明らかにした。



参考文献:
Wang X. et al.(2019): A 3,2-Hydroxypyridinone-based Decorporation Agent that Removes Uranium from Bones In Vivo. Nature Communications, 10, 2570.
https://doi.org/10.1038/s41467-019-10276-z

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