睡眠の起源(追記有)

 睡眠の起源に関する研究(Leung et al., 2019)が公表されました。睡眠は、動物界の系統樹上の全ての枝について、行動基準を用いて記述されています。ヒトの場合には、主要な電気生理学的特徴、すなわち深睡眠と急速眼球運動睡眠(レム睡眠)が突き止められています。こうした睡眠状態は、他の哺乳類・鳥類・爬虫類にも見つかっていますが、ヒトの初期の共通祖先である魚類と両生類が同じ睡眠状態を経験するかどうか、不明でした。

 この研究は、非侵襲的な分子ツール、画像化ツール、生理学的ツールを用いて、2週齢のゼブラフィッシュ幼生の睡眠時の眼球運動・筋肉運動・心拍・脳全体の活動を測定し、ゼブラフィッシュの睡眠のニューロンのシグネチャーを初めて突き止めました。この研究は、徐バースト型睡眠(SBS)・深睡眠・レム睡眠などさまざまな睡眠状態を、心筋や眼筋などの筋肉に特有のシグネチャーと結びつけて明らかにしています。この研究はこうした知見から、脊椎動物全体にとって必須の祖先型の睡眠機能を示している可能性がある、と指摘しています。ヒトが経験する睡眠は、4億5000万年前に出現した可能性がある、というわけです。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【進化学】ヒトはゼブラフィッシュのように眠る

 ゼブラフィッシュの睡眠段階は、哺乳類、鳥類、爬虫類と似ているということを示した論文が今週掲載される。この新知見からは、ヒトが経験する睡眠が、4億5000万年前に出現した可能性があることが示唆されている。

 睡眠は、動物界の系統樹上の全ての枝について、行動基準を用いて記述されており、ヒトの場合には、主要な電気生理学的特徴、すなわち深睡眠と急速眼球運動睡眠(レム睡眠)が突き止められている。こうした睡眠状態は、他の哺乳類、鳥類、爬虫類にも見つかっているが、ヒトの初期の共通祖先である魚類と両生類が同じ睡眠状態を経験するかどうかは不明であった。

 今回、Philippe Mourrainたちの研究グループは、2週齢のゼブラフィッシュ幼生の睡眠時の眼球運動、筋肉運動、心拍とともに脳全体の活動を測定し、この測定結果を用いて、ゼブラフィッシュの睡眠のニューロンのシグネチャーを初めて突き止めた。今回の研究では、さまざまな睡眠状態[徐バースト型睡眠(SBS)、深睡眠、レム睡眠など]を心筋や眼筋などの筋肉に特有のシグネチャーと結び付けて明らかにしている。Mourrainたちは、これらの知見が、脊椎動物全体にとって必須の祖先型の睡眠機能を示している可能性があると考えている。


神経科学:ゼブラフィッシュにおける睡眠の神経シグネチャー

Cover Story:うたた寝の記録:魚類とヒトの睡眠に共通する性質が神経信号から明らかになった

 魚類にとって眠りとはどのようなものなのだろうか。今回P MourrainとL Leungたちは、この問題に取り組んでいる。哺乳類、鳥類、爬虫類では、さまざまな段階の睡眠が特定され、特徴付けられているが、それが魚類などの他の脊椎動物にも当てはまるかどうかは分かっていなかった。著者たちは、非侵襲的な分子ツール、画像化ツール、生理学的ツールを用いてゼブラフィッシュの神経シグネチャーを観測し、少なくとも2つの異なる睡眠状態を特定できたことを報告している。これらの状態は、他の生物に見られる徐波睡眠状態および急速眼球運動睡眠状態と類似している。魚類においてこうした特徴が特定されたことから、これらの睡眠状態は、4億5000万年以上前に脊椎動物の脳に現れた可能性が示唆された。



参考文献:
Leung LC. et al.(2019): Neural signatures of sleep in zebrafish. Nature, 571, 7764, 198–204.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1336-7


追記(2019年7月12日)
 ナショナルジオグラフィックで報道されました。

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