足の役に立っている足裏のタコ

 足裏のタコ(胼胝)が足の役に立っていることを報告した研究(Holowka et al., 2019)が公表されました。裸足で歩く習慣のある人の足裏には分厚いタコが自然にでき、歩きづらい地面や滑りやすい地面を歩くさいに足裏を保護します。現代の靴にも同じような保護効果がありますが、足裏で触刺激を知覚する能力が低下します。分厚いタコによる足裏の感度低下の可能性が指摘されてきましたが、この研究は、成人のケニア人81人と米国人22人の足を調べて、この見解に異議を唱えています。

 予想されたように、この研究では、裸足で歩く習慣のある人は、普段靴を履いている人よりも足裏のタコが分厚く、硬くなる傾向がある、と分かりました。しかし、タコの厚みが足裏の神経の感度に変化を及ぼさないことも明らかになりました。また履物は、地面に着地する時に足から加わる衝撃の大きさに影響を与え、普段靴を履いている人は、分厚いタコを持つ人よりも関節に多くのエネルギーがかかることも明らかになりました。クッション素材の靴底の靴は足裏の感度を低下させ、足から関節に伝わる力を変化させるわけです。こうした機械的負荷の変化が骨格に及ぼす影響についてはほとんど解明されておらず、この研究は、モカシンやサンダルのような薄くて硬く、クッション性のない靴底の履物が、分厚いタコにより近い足裏保護性と足裏感度をもたらす可能性を提示しつつも、さらなる研究の必要性を指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。


【生理学】足裏のタコは足の役に立っている

 裸足で歩く人の足裏にできるタコは足裏を保護するが、これによって足裏の感度や歩き方は損なわれていないことを報告する論文が、今週掲載される。これに対して、クッション素材の靴底の靴は、足裏の感度を低下させ、足から関節に伝わる力を変化させる。著者たちは、モカシンやサンダルのような薄くて硬く、クッション性のない靴底の履物は、分厚いタコにより近い足裏保護性と足裏感度をもたらす可能性があると考えている。

 裸足で歩く習慣のある人の足裏には、分厚いタコが自然にでき、歩きづらい地面や滑りやすい地面を歩く際に足裏を保護する。現代の靴にも同じような保護効果があるが、足裏で触刺激を知覚する能力が低下する。分厚いタコによっても足裏の感度が低下する可能性があると考えられてきたが、今回、Daniel Liebermanたちの研究グループは、成人のケニア人81人と米国人22人の足を調べて、この仮説に異議を唱えている。

 予想されたように、今回の研究では、裸足で歩く習慣のある人は、普段靴を履いている人よりも足裏のタコが分厚く、硬くなる傾向のあることが分かった。しかし、タコの厚みが足裏の神経の感度に変化を及ぼさないことも明らかになった。また、履物は、地面に着地する時に足から加わる衝撃の大きさに影響を与え、普段靴を履いている人は分厚いタコを持つ人よりも関節に多くのエネルギーがかかることも明らかになった。こうした機械的負荷の変化が骨格に及ぼす影響については、ほとんど解明されておらず、さらなる研究が必要である。


生体力学:足の胼胝の厚さは歩行において保護と触覚感度の間にトレードオフを生じない

生体力学:足の胼胝が歩行に役立つ理由

 工業化社会では大半の人々が靴を履いているが、普段靴を履かずに歩いている人は、足裏が肥厚して硬化し、厚い胼胝(たこ)ができる。靴を履くと触覚刺激に対する感度が低下するため、胼胝でも同じことが起きると一般に考えられている。今回D Liebermanたちは、ケニアと米国ボストンで、常に靴を履いている人々と靴を履いていない人々を調べ、胼胝が触覚感度を犠牲にして保護機能を得ているわけではないことを明らかにしている。胼胝のある足が圧力を感じる程度は胼胝のない足と同等で、胼胝のある足が歩行時に地面に当たる際の衝撃は靴を履いている足の場合と同等だが、靴は負荷の割合を低下させるのと引き替えに力積を増大させており、このトレードオフによって関節にかかる全エネルギーは増大する。つまり、我々は靴を使って足を感覚刺激から守り、負荷を調節することによって、裸足で歩くときとは異なる様式で関節に力を伝えていることになり、これは体にさまざまな影響をもたらす可能性がある。ここから得られる教訓は明確だ。クッション性のあるかかとのついた靴を捨てれば、関節と腰はきっと喜んでくれるだろう。



参考文献:
Holowka NB. et al.(2019): Foot callus thickness does not trade off protection for tactile sensitivity during walking. Nature, 571, 7764, 261–264.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1345-6

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