小型のティラノサウルス

 小型のティラノサウルスに関する研究(Nesbitt et al., 2019)が公表されました。巨大なティラノサウルスは8000万~6600万年前の後期白亜紀に繁栄しました。しかし、ティラノサウルス類の起源は、現在の北アメリカ大陸で中期白亜紀に起こった海水準上昇に伴う標本発見の全般的空白のため、ほとんど明らかにされていません。この研究は、アメリカ合衆国ニューメキシコ州のズニ盆地で新たに発見されたティラノサウルス類の骨格2点を報告しています。これは、中期白亜紀のティラノサウルス類としてこれまでで最も完全に近い標本です。

 現地のズニ語でコヨーテを表す「suski」から「Suskityrannus hazelae」と命名されたこの恐竜は、頭蓋の全長が25~32 cmでした。その標本は若齢個体のものでしたが、S. hazelaeは成体でもTyrannosaurus rexのような後期白亜紀の近縁種と比較してはるかに小型だった、と推定されました。S. hazelaeは小型でしたが、走ることに特別に適応した足と強力な咀嚼力を備えていました。こうした特徴の組み合わせは、初期のティラノサウルス類やその後の大型化したティラノサウルス類では確認されていません。この研究は、解析の結果、S. hazelaeは最初期の種を分けた最小の種と後期白亜紀の巨大種の間の中間的なティラノサウルス類として位置づけられ、ティラノサウルス類の進化史における重大な空白を埋める、と結論づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


小さなティラノサウルスが大きな空白を埋める

 米国ニューメキシコ州で出土した小型のティラノサウルス類恐竜の新発見種の化石について記載した論文が、今週報告される。その標本は、それぞれ複数の骨が保存されている若齢の2個体の骨格であって約9200万年前のものと推定されており、解明が進んでいないTyrannosaurus rexやその近縁種の起源に関する洞察をもたらす。

 巨大なティラノサウルスは、8000万~6600万年前の後期白亜紀に繁栄した。しかし、ティラノサウルス類の起源は、現在の北米で中期白亜紀に起こった海水準上昇に伴う標本発見の全般的空白のためにほとんど明らかにされていない。S Nesbittたちは、ニューメキシコ州のズニ盆地で新たなティラノサウルス類の骨格を2点発見した。その化石は、中期白亜紀のティラノサウルス類として史上最も完全に近い標本である。現地のズニ語でコヨーテを表す‘suski’からSuskityrannus hazelaeと命名されたこの恐竜は、頭蓋の全長が25~32 cmであった。その標本は若齢個体のものであったが、S. hazelaeは成体でもT. rexのような後期白亜紀の近縁種と比べてはるかに小型であったと推定された。S. hazelaeは、小型ではあったが、走ることに特別に適応した足と強力な咀嚼力を備えていた。こうした特徴の組み合わせは、初期のティラノサウルス類やその後の大型化したティラノサウルス類には認められない。

 研究チームは、解析の結果、S. hazelaeを最初期の種を分けた最小の種と後期白亜紀の巨大種の間の中間的なティラノサウルス類として位置付け、この新種がティラノサウルス類の進化史における重大な空白を埋めるものと結論付けている。



参考文献:
Nesbitt SJ. et al.(2019): A mid-Cretaceous tyrannosauroid and the origin of North American end-Cretaceous dinosaur assemblages. Nature Ecology & Evolution, 3, 6, 892–899.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-0888-0