金子拓『信長家臣明智光秀』

 平凡社新書の一冊として、平凡社より2019年10月に刊行されました。来年(2019年)の大河ドラマの主人公は明智光秀なので、すでに光秀関連の一般向け書籍が複数刊行されていますし、今後も続々と刊行されていくでしょう。もう15年以上、戦国時代の勉強が停滞しているので、この機会に新たな知見を得るとともに復習することも目的に、光秀関連の一般向け書籍を読むつもりだったのですが、戦国時代に関しては現在の優先順位がさほど高くないので、一冊に絞ろうと考えていました。そこで、著者名を見て、本書を読もうと決断した次第です。

 光秀の前半生についてはよく分からない、と研究者の間では合意が形成されているようですが、本書は、副題にあるように、光秀が織田信長の家臣だった時代に限定しており、それ以前についてはほとんど言及していません。これは研究者としての良心の表れとも言えるでしょうし、私もさほど不満があるわけではないのですが、光秀の前半生についてやや詳しく解説した近年の一般向け書籍もそのうち読んでみよう、と考えています。来年の大河ドラマでは若き日の光秀も描かれるでしょうが、どのような設定が採用されるのでしょうか。

 信長家臣時代後半の光秀は、丹波攻略を中心に、畿内とその周辺の各地に出陣しました。本書から窺える光秀像は、たいへん優秀で、主君の信長から厚い信頼を得ているとともに、主君に感謝している忠実な家臣というものです。その光秀が謀反を起こした(本能寺の変)理由について本書は、謀反の半年前にはまだ信長への感謝が見られることから、それから半年以内に信長に対する強い不満を抱くようなことがあったのではないか、と推測しています。具体的には、光秀が窓口となっていた四国(対長宗我部家)政策の変更や、稲葉家との家臣の所属をめぐる問題が挙げられています。本書の見解で注目されるのは、光秀の謀反の理由として、じゅうらいは俗説として軽視される傾向にあった、光秀が信長に暴行を受けた、という記録を重視していることです。具体的にどのような場面でなぜ光秀が信長に暴行を受けたのか、確定はできないとしても、どこかで暴行はあったのではないか、というわけです。本書は、光秀は信長が無防備で都にいる状況を見て、信長に対する不満から激情的に謀反を起こしたのであり、政権構想など確たる見通しはなかったのではないか、と推測しています。

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