血液におけるY染色体喪失モザイクの遺伝的要因

 血液におけるY染色体喪失モザイクの遺伝的要因に関する研究(Thompson et al., 2019)が公表されました。循環白血球におけるY染色体喪失のモザイク(LOY)は、細胞のクローン性増殖によるモザイク現象の最も一般的な形態ですが、その原因や結果についての知見は限られています。この研究は、新たな計算手法を用いて、イギリスのバイオバンク研究に登録されている男性集団(205011人)の20%が検出可能なLOYを有すると推定される、と示しています。

 この研究では、常染色体上の156のLOY遺伝的関連座位が特定され、これらはヨーロッパ系および日本系の男性757114人において再現性が確認されました。これらの座位からは、細胞周期の調節やがんの感受性に関わる遺伝子に加え、腫瘍増殖の体細胞性ドライバー変異や癌治療の標的に関与する遺伝子が明らかになりました。LOYの遺伝的感受性は、男性および女性の両方において、健康に及ぼす非血液学的影響に関連している、と実証されました。これは、クローン性造血が他の組織のゲノム不安定性のバイオマーカーである、という仮説を裏づけています。

 この研究では、単一細胞RNA塩基配列解読から、LOYの見られる白血球には複数の常染色体遺伝子の発現に調節異常がある、と明らかになり、このような細胞のクローン性増殖が起こる理由についての手掛かりが示されました。総合すると、これらのデータは、癌やその他の加齢関連疾患の根底にある基本的な機構を明らかにするために、クローン性モザイク現象を調べる価値がある、と示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


遺伝学:血液におけるY染色体喪失モザイクの遺伝的素因

遺伝学:Y染色体喪失のモザイク

 J Perryたちは今回、英国バイオバンクに登録されている男性の循環白血球において、細胞のクローン性増殖によるモザイク現象の一般的な形態であるY染色体喪失モザイク(LOY)について、ゲノム規模関連解析を行った結果を報告している。LOYを検出する新たな手法によって、この男性集団の約20%が検出可能なLOYを持つという推定が得られた。また、常染色体上の156のLOY遺伝的関連座位が特定され、これらは別のヨーロッパ系男性集団および日系男性集団で再現性が確認された。さらに、白血球LOYへの遺伝的感受性が、広範な非血液がんと相関することも分かった。



参考文献:
Thompson DJ. et al.(2019): Genetic predisposition to mosaic Y chromosome loss in blood. Nature, 575, 7784, 652–657.
https://doi.org/10.1038/s41586-019-1765-3

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