小惑星衝突による恐竜の絶滅とその後の生物相の形成を促した火山活動(追記有)

 小惑星衝突による恐竜の絶滅とその後の生物相の形成を促した火山活動に関する研究(Hull et al., 2020)が公表されました。日本語の解説記事もあります。非鳥類型恐竜が地球上の生物種の3/4とともに絶滅した白亜紀~古第三紀(K/Pg)境界大量絶滅に関しては、20世紀後半になって小惑星衝突説が有力になりましたが、インドのデカントラップ火山地域の噴火の影響も指摘されています(関連記事)。しかし、K/Pg境界大量絶滅期に発生したデカントラップからの大量の溶岩と小惑星衝突の相対的影響を解析するのは困難で、K/Pg境界大量絶滅の原因は依然として明確ではありません。

 この研究は、おもに溶岩の堆積に注目したデカントラップ火山活動の作用に関するこれまでの研究とは異なり、環境との関連がより深い1つの噴火特徴であるガス放出を評価しました。この研究は複数のシナリオでの炭素循環モデリングにより、デカントラップからのガス放出の年代および二酸化炭素と硫黄の排出の長期的な地球気温に対する影響を調べ、その結果とK/Pg境界絶滅イベント中の地球の古温度記録を比較しました。その結果、おもなデカントラップからのガス放出の少なくとも50%以上は小惑星衝突直前ではなく、それよりかなり前に起こっていた、と明らかになりました。

 そのためこの研究は、K/Pg境界絶滅イベントと同年代なのは小惑星衝突だけだった、と指摘しています。この研究は、ガス放出の年代には炭素循環が変化し、海が大量の二酸化炭素を吸収できるようになったことで、大量絶滅後にデカントラップ火山活動によって起こることが予測される地球の温暖化は制限された、と推測しています。デカントラップの火山活動は、K/Pg境界絶滅イベント後の新生代の種とその群生の登場を形成することに貢献した、というわけです。


参考文献:
Hull PM. et al.(2020): On impact and volcanism across the Cretaceous-Paleogene boundary. Science, 367, 6475, 266–272.
https://doi.org/10.1126/science.aay5055


追記(2020年1月21日)
 ナショナルジオグラフィックでも報道されました。

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