大河ドラマ『麒麟がくる』第1回「光秀、西へ」

 いよいよ今年(2020年)の大河ドラマが始まりました。本作は知名度の高い明智光秀(十兵衛)が主人公で、織田信長・豊臣秀吉・徳川家康の三英傑が深く関わってくることから、制作発表の頃から期待値はかなり高かったように思います。しかし、昨年11月に斎藤道三の娘である帰蝶役の沢尻エリカ氏が逮捕されて降板となり、川口春奈氏が代役として起用され、それまでの収録分(10回分程度だそうですが)も撮り直しとなり、初回放送は2週間延期となってしまいました。

 放送開始前から躓いてしまった感のある本作ですが、例年よりも放送開始前に話題になったとも言えるわけで、近年、大河ドラマの視聴率が低迷しているだけに、人気の戦国時代で何とか大きく視聴率を回復してもらいたいものです。川口春奈氏に関しては、民放主演ドラマで低視聴率とマスコミに叩かれていた頃より、若手女優として応援していただけに、この機会に飛躍してもらいたいものです。とはいっても、考えてみると、川口氏の出演作品を視聴したことはなかったかもしれませんが・・・。沢尻氏の帰蝶を見たかったという気持ちは強いのですが、そうした気持ちを忘れさせるくらいの好演を川口氏には期待しています。

 さて、初回の内容ですが、まずオープニングは、いかにも大河ドラマといった感じの重厚な感じで、昨年の軽快な感じとは対照的ですから、声の大きな大河ドラマ愛好者には好評だろう、と思います。物語は、1547年(西暦は厳密な換算ではなく、1年単位での換算です)、美濃の明智荘に襲来した野盗を光秀たちが迎撃する場面から始まります。光秀は地の利を活かして野盗を撃退しますが、米俵は奪われます。光秀は野盗の鉄砲に興味を抱き、主君の斎藤利政(道三)に願い出て、堺へと旅立ちます。その途中で光秀は延暦寺を通過しますが、関で通行料を払わされ、こうした体験が後に織田信長に仕えるようになってからの焼き討ちとも関わってくるのでしょうか。

 光秀の前半生はよく分かっていないので、若き日に畿内を訪れてさまざまな人々と出会った、という話を描くのはよいと思います。今回光秀は、堺で三淵藤英や松永久秀と知り合います。このような創作(だろうと思います)で問題となるのは、自由に動かせるので松永久秀のような有名人と絡ませてみただけ、ということなのですが、そこは大家の脚本だけに、この若き光秀の畿内見聞が後々大きな意味を持ってくるのではないか、と期待しています。

 今回描かれた人間模様では、やはり利政・高政(義龍)親子の関係が注目されます。すでに両者の関係は上手くいっていないようですが、利政からすると、息子がまだ頼りないようで、その評価が露骨に示されているため、反発しているようです。ただ、まだ親子で殺し合いをするほど険悪な関係ではないようです。両者の関係の変化が今後どう描かれるのか、楽しみです。松永久秀は梟雄として語られてきましたが、近年では人物像が見直されているそうです(関連記事)。初回を視聴した限りでは、本作の久秀は豪快で強かな人物のようです。本作はよく知られた人物について新たな解釈を提示するそうですが、久秀はどうなのでしょうか。

 初回は全体的に、重厚な感も娯楽要素もあり、主要人物のキャラも立っていたので、大河ドラマとしては上々の滑り出しだと思います。声の大きな大河ドラマ愛好者にはおおむね好評でしょうし、私も楽しめました。もう一人の主人公らしい駒がどのように描かれるのか、不安もありますが、どのように本能寺の変へとつながっていくのか、ずっと楽しみに視聴を続けられそうです。近年、大河ドラマの視聴率低迷は深刻で、このまま低視聴率が続けば大河ドラマ廃止論も現実的になりそうですから、本作の視聴率が2016年放送の『真田丸』以上となるよう、期待しています。

 注目されていた帰蝶ですが、今回は終盤にわずかに登場しただけでした。おそらく、当初の予定よりも出番は減っているのでしょう。それでも、初回から登場し、おそらく終盤まで退場はないでしょうから、かなり重要な役割を担いそうです。本当に、沢尻氏はろくでもないことをやってくれたものだ、と残念でなりません。川口氏は本作が初の時代劇とのことですが、演技力抜群とは言えずとも、初々しい感じでなかなかよかったと思います。今後、出番は増えていくでしょうから、楽しみです。

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