地球最古の衝突

 地球最古の衝突に関する研究(Erickson et al., 2020)が公表されました。地球の表面はテクトニクスと浸食によって絶えず変化しているため、非常に古い衝突クレーターの同定が難しくなっています。これまでに20億年以上前の衝突噴出物がオーストラリアとアフリカの一部で発見された、と報告されており、年代が測定されましたが、それに対応する衝突クレーターの同定はできていませんでした。オーストラリアの西オーストラリア州にある、直径70 kmとなるこのヤラブッバの衝突構造は、地球最古級の一つと考えられていますが、これまでのところ正確な年代は不明です。

 この研究は、ヤラブッバの衝突構造内で、衝撃により再結晶化した鉱物を分析し、衝突事象のより正確な年代(22億2900±500万年)を明らかにしました。この研究は、ヤラブッバの衝突構造の年代が、この地域の氷期と一致している、と指摘しています。また、この研究は衝突の数値シミュレーションにより、ヤラブッバの衝突構造を生み出した隕石が大陸の氷床に衝突した場合には、87兆~5000兆キログラムの水蒸気が大気中に放出され、地球の気候を変える役割を果たした可能性がある、と明らかにしました。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【地球科学】地球最古の衝突構造

 オーストラリアの西オーストラリア州に保存されている直径70 kmのヤラブッバ・クレーターが、2億年以上前の衝突構造であり、地球最古のものであることを示唆する証拠を詳細に記述した論文が掲載される。クレーター内にあった衝撃鉱物の地質学的な年代測定が行われ、この地点で22億2900万年前に隕石が衝突したことが明らかになった。

 地球の表面はテクトニクスと浸食によって絶えず変化しているため、非常に古い衝突クレーターの同定が難しくなっている。これまでに20億年以上前の衝突噴出物がオーストラリアとアフリカの一部で発見されたことが報告され、年代測定が行われたが、それに対応する衝突クレーターの同定ができなかった。このヤラブッバの衝突構造は、地球最古のものの1つと考えられているが、今までのところ正確な年代はわかっていない。

 今回、Timmons Ericksonたちの研究チームが、ヤラブッバの衝突構造内で、衝撃によって再結晶化した鉱物を分析したところ、衝突事象の正確な年代(22億2900 ± 500万年)が明らかになった。Ericksonたちは、このヤラブッバの衝突構造の年代が、この地域の氷期と一致していることを指摘している。また、今回の研究では、衝突の数値シミュレーションが行われ、ヤラブッバの衝突構造を生み出した隕石が大陸の氷床に衝突した場合には、87兆~5000兆キログラムの水蒸気が大気中に放出され、地球の気候を変える役割を果たした可能性のあることが明らかになった。



参考文献:
Erickson TM. et al.(2020): Precise radiometric age establishes Yarrabubba, Western Australia, as Earth’s oldest recognised meteorite impact structure. Nature Communications, 11, 300.
https://doi.org/10.1038/s41467-019-13985-7