菜食による尿路感染症のリスク低減

 菜食(ベジタリアン食)による尿路感染症のリスク低減に関する研究(Chen et al., 2020)が公表されました。尿路感染症は多くの場合、腸内細菌(大腸菌など)が原因になっています。腸内細菌は尿道から尿路に侵入し、腎臓と膀胱に悪影響を及ぼします。以前の研究で、尿路感染症の原因と知られている大腸菌株の主要な貯蔵場所の一つは食肉と明らかになっていますが、食肉の摂取を避ければ、尿路感染症のリスクが低減するのかどうかは、分かっていません。

 この研究は、台湾の仏教徒の健康転帰における菜食の役割を調査する研究(慈濟ベジタリアン研究)に参加した台湾の仏教徒(9724人)における尿路感染症の罹患率を調べました。その結果、尿路感染症の全体的なリスクは、菜食主義者(ベジタリアン)の方が非菜食主義者より16%低い、と明らかになりました。また、研究対象となった3040人の菜食主義者のうち217人が尿路感染症を発症したのに対して、非菜食主義者6684人のうち、尿路感染症を発症したのは444人でした。菜食に関連した尿路感染症リスクの低減は、女性よりも男性の方が大きかったものの、男性の尿路感染症の全体的なリスクは、食事に関係なく女性よりも79%低いことも明らかになりました。

 大腸菌が存在していることの多い鶏肉や豚肉を食べないことが、尿路感染症の原因となり得る大腸菌の摂取を避ける方法になるのではないか、とこの研究は推測しています。また、この研究は、多くの菜食主義者の高食物繊維食が腸内大腸菌の増殖を阻止し、腸内の酸性度を高めることにより尿路感染症のリスクの低減を図れる、との見解も提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【健康】尿路感染症のリスク低減にベジタリアン食が役立つかもしれない

 ベジタリアン食(菜食)が、尿路感染症(UTI)のリスク低下につながる可能性があることを報告する論文が掲載される。

 UTIは、腸内細菌(大腸菌など)が原因になっていることが多い。腸内細菌が、尿道から尿路に侵入し、腎臓と膀胱に悪影響を及ぼすのだ。以前の研究で、UTIの原因であることが知られた大腸菌株の主要な貯蔵場所の1つは食肉であることが明らかになっているが、食肉の摂取を避ければ、UTIのリスクが低減するのかどうかは分かっていない。

 今回、Chin-Lon Linたちの研究チームは、台湾の仏教徒の健康転帰における菜食の役割を調査する研究(慈濟ベジタリアン研究)に参加した台湾の仏教徒(9724人)におけるUTIの罹患率を調べた。その結果、UTIの全体的なリスクは、ベジタリアン(菜食主義者)の方が非ベジタリアンより16%低いことが判明した。また、研究対象となった3040人のベジタリアンのうちの217人がUTIを発症したのに対し、非ベジタリアン6684人のうち、UTIを発症したのは444人だった。ベジタリアン食に関連したUTIリスクの低減は、女性よりも男性の方が大きかったが、男性のUTIの全体的なリスクは、食事に関係なく女性よりも79%低かった。

 大腸菌が存在していることの多い鶏肉や豚肉を食べないことが、UTIを引き起こす可能性のある大腸菌の摂取を避ける方法になるとLinたちは考えている。また、Linたちは、多くのベジタリアンの高食物繊維食が腸内大腸菌の増殖を阻止し、腸内の酸性度を高めることによってUTIのリスクの低減を図れるという考えも示している。



参考文献:
Chen YC. et al.(2020): The risk of urinary tract infection in vegetarians and non-vegetarians: a prospective study. Scientific Reports, 10, 906.
https://doi.org/10.1038/s41598-020-58006-6

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