バラノピド類の長期保育と分類

 バラノピド類(varanopid)の長期保育と分類に関する二つの研究が報道されました。一方の研究(Maddin et al., 2020)は、バラノピド類の長期保育について報告しています。現在、長期保育としても知られる生後の子の保育は、鳥類や哺乳類や魚類など多くの脊椎動物で広く見られますが、他の動物群では見られません。過去の研究からは、約2億9800万~2億5100万年前となるペルム紀のアフリカ南部のバラノピド単弓類(Heleosaurus scholtzi)の化石に見られるものが、長期保育の最初の例と示唆されています。しかし、親と幼生が一緒に保存されている証拠はめったに発見されないため、その行動の進化を追うことは容易ではありません。

 この研究は、カナダのノバスコシア州で発見された、約3億6千万~2億9900万年前となる石炭紀の、木のような切り株の中に関節がつながった状態で一緒に保存されていた新種バラノピド類(Dendromaia unamakiensis)の成体と幼体の部分骨格を報告しています。これには成体1頭およびその後肢の後ろにいて尾で囲われている同族の幼体1頭が含まれ、この研究は、切り株内部の隠された場所がその親子の巣になっていて、そこで親が子を守りながら長時間過ごしていた、と推測しています。これは、長期保育がじゅうらいの想定よりも約4000万年さかのぼることを示唆します。

 ただ、こうしたバラノピド類が系統樹のどこに当てはまるのか、議論されてきました。これまで、バラノピド類は哺乳類の祖先である単弓類として分類されてきました。しかし、もう一方の研究(Ford, and Benson., 2020)は、バラノピド類が羊膜類の中でも哺乳類も含まれる単弓類ではなく爬虫綱に分類されるものの、トカゲ類・ヘビ類・カメ類・鳥類とはまた異なる分類群を形成する、という新たな系統樹を提示しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


【生態学】既知最古の長期保育の例

 これまで知られていなかった単弓類種(現在のオオトカゲに似た動物)の化石について報告する論文が掲載される。約3億900万年前のものであるその標本には、成体1頭およびその後肢の後ろにいて尾で囲われている同族の幼体1頭が含まれ、従来の想定から4000万年さかのぼる年代に長期保育(extended parental care)が始まったことを示唆している。

 現在、長期保育としても知られる生後の子の保育は、鳥類、爬虫類、哺乳類、魚類、両生類などの多くの脊椎動物に広く見られるが、他の動物群では見られない。過去の研究からは、ペルム紀(2億9800万~2億5100万年前)の南アフリカのvaranopid単弓類Heleosaurus scholtziの化石に見られるものが長期保育の最初の例であることが示唆されている。しかし、親と幼生が一緒に保存されている証拠はめったに発見されないため、その行動の進化を追うことは容易でない。

 Hillary Maddinたちは、石炭紀のカナダ・ノバスコシア州で木のような切り株の中に関節がつながった状態で一緒に保存されていたDendromaia unamakiensisというvaranopidの成体と幼体の部分骨格について紹介している。研究チームは、切り株内部の隠された場所がその親子の巣になっていて、そこで親が子を守りながら長時間過ごしていたのではないかと考えている。

 D. unamakiensisのようなvaranopidが正確には動物系統樹のどこに当てはまるのかについての解釈は、議論のある問題である。旧来、この動物群は哺乳類の祖先である単弓類として分類されてきた。同時掲載される別の論文では、David FordとRoger Bensonが、varanopidは、哺乳類と近縁ではなく、後にワニ類、トカゲ類、ヘビ類、カメ類、鳥類を生じた「双弓類」という爬虫類群の一部だったのではないことを示している。



参考文献:
Ford DP, and Benson RB.(2020): The phylogeny of early amniotes and the affinities of Parareptilia and Varanopidae. Nature Ecology & Evolution, 4, 1, 57–65.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-1047-3

Maddin HC, Mann A, and Hebert B.(2020): Varanopid from the Carboniferous of Nova Scotia reveals evidence of parental care in amniotes. Nature Ecology & Evolution, 4, 1, 50–56.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-1030-z