大規模な生態系崩壊のモデル化

 大規模な生態系崩壊のモデル化に関する研究(Cooper et al., 2020)が公表されました。生態学上のレジームシフトは、安定した生態系が持続的に大きく変化することで、突然起こることが多く、「転換点」に達するとフィードバックループによって駆動される可能性があります。レジームシフトの発生頻度は、気候変動と環境悪化により上昇すると予想されますが、生態系の大きさと崩壊速度の関係は明確に解明されていません。これが明らかになれば、環境破壊を低減するための適応管理戦略を実施する場面の特定で役立つ可能性があります。

 この研究は、4つの陸上生態系、25の海洋生態系、13の淡水生態系の変化に関する報告から得られたデータを解析しました。その結果、大規模生態系のレジームシフトが、小規模な生態系よりもゆっくり起こる傾向が分かりましたが、一方で、生態系の規模が大きくなるにつれて、崩壊に要する時間が長期化するペースは鈍化するため、大規模な生態系の崩壊が不相応に急速だと明らかになりました。

 この研究は、コンピューターモデルにより裏づけられた統計的関係を用いて、アマゾン川流域(約550万平方キロメートル)の規模の生態系の崩壊過程が約49年で完了するかもしれない、と推定しました。また、カリブ海のサンゴ礁(約2万平方キロメートル)の規模の生態系が崩壊するまでの時間は、崩壊が始まってからわずか15年ほどである可能性も明らかになりました。

 アマゾン川流域の熱帯雨林やカリブ海のサンゴ礁のような脆弱な大規模生態系は、崩壊の開始によりわずか数十年で崩壊が完結するかもしれない、というわけです。この研究は、生態系の変化がこれまで考えられていたよりも急速に起こる可能性があり、人類がそうした変化に備える必要性を指摘します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


生態学:大規模な生態系の崩壊をモデル化する

 脆弱な大規模生態系(例えば、アマゾン川流域の熱帯雨林やカリブ海のサンゴ礁)で崩壊が起こり始めると、わずか数十年で崩壊が完結する可能性のあることを示唆するモデル研究について報告する論文が、Nature Communications に掲載される。

 生態学上のレジームシフトは、安定した生態系が持続的に大きく変化することであり、突然起こることが多く、「転換点」に達するとフィードバックループによって駆動される可能性がある。レジームシフトの発生頻度は、気候変動と環境悪化によって上昇すると予想されるが、生態系の大きさと崩壊速度の関係は明確に解明されていない。このことが明らかになれば、環境破壊を低減するための適応管理戦略を実施する場面を特定する上で役立つ可能性がある。

 今回、John Dearingたちの研究チームは、4つの陸上生態系、25の海洋生態系、13の淡水生態系の変化に関する報告から得られたデータを解析した。その結果、大規模生態系のレジームシフトが、小規模な生態系よりもゆっくり起こる傾向が分かったが、一方で、生態系の規模が大きくなるにつれて、崩壊に要する時間が長期化するペースが鈍化するため、大規模な生態系の崩壊が不相応に急速なことが明らかになった。Dearingたちは、コンピューターモデルによって裏付けられた統計的関係を用いて、アマゾン川流域(約550万平方キロメートル)の規模の生態系の崩壊過程が約49年で完了する可能性があると推定した。また、カリブ海のサンゴ礁(約2万平方キロメートル)の規模の生態系が崩壊するまでの時間は、崩壊が始まってからわずか15年ほどである可能性も明らかになった。

 Dearingたちは、生態系の変化がこれまで考えられていたよりも急速に起こる可能性があり、人類がそうした変化に備える必要があるという結論を示している。



参考文献:
Cooper GS, Willcock S, and Dearing JA.(2020): Regime shifts occur disproportionately faster in larger ecosystems. Nature Communications, 11, 1175.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-15029-x

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