世界の島嶼鳥類の多様性を説明するモデル

 世界の島嶼鳥類の多様性を説明するモデルについての研究(Valente et al., 2020)が公表されました。定着・種分化・絶滅は、種の豊富さの全球パターンに影響を与える動的な過程です。この島嶼生物地理学の理論は1963年に提唱されました。島嶼生物地理学の理論では、これらの過程の種の多様性の蓄積への寄与は、島の面積と隔離度に依存する、と予測されています。しかし、適切なデータも解析ツールもこれまで利用可能ではなかったため、種分化を無視できないような島嶼に関して、この予測のロバストで全球的な検証は行なわれてきませんでした。この研究は、こうしたデータとツールの不足という問題に取り組み、島嶼の鳥類について、定着・絶滅・種分化の速度が島の面積および隔離度とどのように共変化するのかを規定する、一般的関係の経験的な形態を明らかにしています。

 この研究は、596の鳥類分類群を含む世界各地の41の海洋群島の陸生鳥類相に基づき、島嶼鳥類に関する全球的な分子系統学的データセットを構築し、新たな解析法を用いて、定着・種分化・絶滅の島嶼特異的な速度の、島の特徴(面積および隔離度)への感度を推定しました。得られたモデルは、高い説明力で複数の全球的な関係を予測できました。すなわち、定着は隔離度の増大に伴って減速し、絶滅は面積の増大に伴って減速し、種分化は面積と隔離度の増大に伴って加速する、と明らかになりました。島嶼生物地理学の理論的基盤を、分子系統学的データに含まれる経時的情報と組み合わせることにより、地球規模で見られる生物多様性の変動を司る基本的な関係を明らかにするための強力な手法が得られます。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


生態学:世界の島嶼鳥類の多様性は単純な動的モデルによって説明される

生態学:島嶼の鳥類で裏付けられた島嶼生物地理学の理論

 MacArthurとWilsonは1963年、定着、種分化、絶滅の種の多様性の蓄積への寄与は生息地の面積と隔離度に依存する、とする島嶼生物地理学の理論を提唱した。今回L Valenteたちは、島嶼の鳥類における、この理論の全球規模での検証について報告している。彼らは、世界各地の41の海洋群島の陸生鳥類相に基づいて、島嶼鳥類の定着および種分化の時期に関する全球的な分子系統学的データセットを構築した。そして、定着、種分化、絶滅の島嶼特異的な速度の島の面積および隔離度への感度を推定する動的モデルを開発することで、定着が隔離度の増大に伴って減速し、絶滅が面積の増大に伴って減速し、種分化が面積および隔離度の増大に伴って加速することを見いだした。これらの結果は、島嶼生物地理学理論の重要な予測を裏付けている。



参考文献:
Valente L. et al.(2020): A simple dynamic model explains the diversity of island birds worldwide. Nature, 579, 7797, 92–96.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2022-5

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