カンブリア紀のクラウン群環形動物

 カンブリア紀のクラウン群環形動物に関する研究(Chen et al., 2020)が公表されました。環形動物は、待ち伏せ型捕食者・懸濁物食者・陸生の貧毛類といった全く異なる動物群で構成される、最も多様な動物門の一つです。環形動物の初期進化は現在も不明で議論され続けていますが、その一因は、分子系統学的知見と化石記録との不一致にあります。

 カンブリア紀の環形動物化石の形態が表在ベントス型の生活様式を示しているのに対して、系統ゲノミクス解析の結果は、初期に分岐したグレードとして固着性の埋在性タクソン(分類群)および管住性タクソンを示しています。モロテゴカイ類とチマキゴカイ類からなる古環形動物(Palaeoannelida)は他の全ての環形動物の姉妹群ですが、生活様式および全体的形態の両面で、カンブリア紀のタクソンとは大きく異なっています。

 本論文は、カンブリア紀の前期の滄浪鋪(Canglangpu)累層で発見された新種の化石多毛類(Dannychaeta tucolus)について報告します。この標本は、もともとは有機質であった壊れやすい棲管の内部に保存されていました。この標本の頭部には明瞭なスペード形の口前葉があり、腹側側方に複数の長い副感触手が見られます。この標本の体には幅広で頑丈な胸部と長い腹部があり、薄板を伴う二枝型の疣足が複数認められます。

 こうした特徴の組み合わせは現生のモロテゴカイ類と共通しており、系統発生学的解析の結果、この新種多毛類は古環形動物の内部に位置付けられた。この多毛類はクラウン群環形動物に属することが明白な最古の多毛類で、これらの知見は、環形動物の進化速度に制約を与えるとともに、太古の環形動物の生態および形態に関して、これまで認識されていなかった多様性を明らかにしています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


参考文献:
Chen H. et al.(2020): A Cambrian crown annelid reconciles phylogenomics and the fossil record. Nature, 583, 7815, 249–252.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2384-8

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