カンブリア紀の寄生の証拠

 カンブリア紀の寄生の証拠に関する研究(Zhang et al., 2020)が公表されました。腕足動物は小さな貝殻のような海洋動物で、軟体動物の二枚貝類に似ています。現生腕足動物は約450種ですが、化石記録からは12000種以上が知られています。この研究は、中国雲南省で発見され、約5億1200万年前と推定されたカンブリア紀の腕足動物(Neobolus wulongqingensis)の化石集団を分析しました。その結果、この腕足動物化石では多くの殻の外側に、棲管の中で暮らす生物が張りつていた、と明らかになりました。生物が張りついているこの腕足動物は有意に小型で、棲管の向きはこの腕足動物の摂食流の向きと一致していた。

 これらの知見から、この棲管の中で暮らす生物が、宿主の食物を盗み取って宿主の適応度を低下させる寄生者(労働寄生として知られる)と考えられます。寄生者と宿主の相互作用は、大部分の推論が外観に基づいたものにならざるを得ないため、化石記録での検出は困難です。この研究では、寄生の外観に関してだけでなく、寄生のコストに関しての希少な証拠も集められました。約5億4100万年前のカンブリア爆発の直後に、動物が寄生者と食物を争わなければならない状況がすでに存在していたと考えられ、これは化石記録において特定された最古の寄生者と宿主の関係となります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


古生物学:古代の寄生の証拠が見つかった

 約5億4100万年前のカンブリア爆発の直後に、動物が寄生者と食物を争わなければならない状況があったことを報告する論文が、今週、Nature Communications に掲載される。今回の研究で、古代の腕足動物に寄生していた生物が、宿主の食物をかすめ取っていた可能性が非常に高いことが明らかになった。この知見は、これまでに化石記録において特定された最も古い寄生者–宿主関係になる。

 腕足動物は、小さな貝殻のような海洋動物で、軟体動物の二枚貝類に似ている。現生の腕足動物は約450種だが、化石記録からは1万2000種以上の腕足動物が知られている。

 今回、Zhifei Zhangたちの研究チームは、中国雲南省で発見され、年代測定によって約5億1200万年前のものとされたカンブリア紀の腕足動物であるNeobolus wulongqingensisの化石集団を分析した。その結果、多くのN. wulongqingensisの殻の外側には、棲管の中で暮らす生物が張り付いていることが分かった。生物が張り付いているN. wulongqingensisは有意に小型で、棲管の向きはN. wulongqingensisの摂食流の向きと一致していた。以上から、Zhangたちは、この棲管の中で暮らす生物が、宿主の食物を盗み取って宿主の適応度を低下させる寄生者(労働寄生として知られる)と考えている。

 寄生者と宿主の相互作用は、大部分の推論が外観に基づいたものにならざるを得ないため、化石記録に残すことは難しい。今回の研究で、Zhangたちは、寄生の外観に関してだけでなく、寄生のコストに関しての希少な証拠も集めた。



参考文献:
Zhang Z. et al.(2020): An encrusting kleptoparasite-host interaction from the early Cambrian. Nature Communications, 11, 2625.
https://doi.org/10.1038/s41467-020-16332-3

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