デニソワ洞窟での新たな発見

 南シベリアのアルタイ山脈のデニソワ洞窟(Denisova Cave)遺跡での新たな発見について報道されました。地元民から熊岩(Ayu Tash)と呼ばれているデニソワ洞窟では、ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)の存在が確認されています(関連記事)。デニソワ洞窟は、人類遺骸の重要な遺伝学的研究が相次いで公表されたことから、ひじょうに注目されています。

 デニソワ洞窟における今年(2020年)夏の発掘では、多くの発見がありました。発掘区域は、30万年前頃までさかのぼるデニソワ洞窟南空間の、人類の痕跡がある最下層でした。22層では乳歯と大臼歯が発見され、乳歯が発見されたのは、25万年前頃となる22層の最下部で、大臼歯が発見されたのは19万~17万年前頃となる22層上部でした。発掘を指揮したシュンコフ(Mikhail Shunkov)氏は、この2個の歯はデニソワ人のものと述べています。ただ、この分類が形態に基づくのか、それともミトコンドリアDNA(mtDNA)もしくは核DNAに基づくのか、報道では分かりませんでした。あるいは、まだネアンデルタール人の痕跡がアルタイ地域では確認されていない年代であることから判断されたのかもしれません。そうだとすると、別の人類である可能性もあるように思います。

 この発見により、デニソワ人が中東からアルタイ地域に30万年前頃に移動してきたことが決定的に確証された、とシュンコフ氏は指摘します。また、断片的な骨が2個、13万~12万年前頃の14層と13層で見つかりました。ネアンデルタール人遺骸が14層と13層で見つかっているので、これらの骨がネアンデルタール人とデニソワ人のどちらなのか判断するには、さらなる調査が必要です。デニソワ洞窟の13万~12万年前頃の人類遺骸ならば、DNA解析も可能でしょうから、mtDNAとともに核DNAの解析も期待されます。

 デニソワ洞窟では発掘が継続中で、新たな人類遺骸の発見もあると報告されており、今後も研究の進展が大いに期待できそうです。デニソワ洞窟ではまだ保存状態の良好な人類遺骸は発見されていませんが、断片的な遺骸でも、遺伝的情報を得ることは可能です。これまでの研究成果から、デニソワ洞窟は同年代の遺跡の中ではかなりDNAの残存状況が良いと考えられるので、断片的な人類遺骸でも、人類進化の解明に大きく寄与できそうです。今後も、デニソワ洞窟の発掘からは目が離せません。

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