『卑弥呼』第48話「暗殺」

 『ビッグコミックオリジナル』2020年10月20日号掲載分の感想です。前回は穂波(ホミ)の重臣であるトモから派遣された暗殺者のアチに、殺害対象者の名を問われたクラトが、ミマアキと答えるところで終了しました。今回は、クラトが穂波(ホミ)から山社(ヤマト)への献上品を運ぶ奴婢たちを先導している場面から始まります。この奴婢の中には、ミマアキ暗殺の任務を負ったアチもいました。一行は山社に到着し、聖地の山社に入れない穂波の奴婢たちは門外で待たされます。米どころの穂波からの献上品には米があり、イクメは喜びます。他の献上品に有名な器類もあり、ヌカデも喜びます。穂波のヲカ王が山社からの和議の申し出を喜んで受け入れると言っていた、とクラトから報告を受けたヤノハは、クラトを労います。後はテヅチ将軍から都萬(トマ)のタケツヌ王の返事を待つのみで、末盧(マツロ)・伊都(イト)・那(ナ)・穂波・都萬の5ヶ国と同盟を結べば、暈(クマ)も簡単には山社に手を出せないだろう、と言うミマアキに、そなたの描く絵の通りになったな、とヤノハは褒めます。その様子に、ミマアキと恋仲のクラトは複雑そうな表情を浮かべます。重臣たちを退出させたヤノハは天井に向かって、では、よろしく、と言います。

 楼観から降りたクラトはミマアキに、見せたいものがあるので半刻後に外で会いたい、砦の中ではまずいのだ、と誘います。外でアチと会ったクラトは、ミマアキは必ずこの道を通る、自分は少し先の開けた草地にいるので、終わったら合図をしてくれ、と支持します。自分がミマアキを殺すところは見届けなくてよいのか、とアチに問われたクラトは、友の死は見たくない、と答えます。アチは、クラトの望み通り、一思いにとどめを刺す、と言います。クラトが草地に向かうと、半刻も経たないうちに、笛を持ったナツハが現れます。ナツハは配下の多数の狼と犬にアチを襲撃するよう、命じます。アチはこの犬と狼が訓練を受けた志能備獣(シノビケモノ)と気づき、紐の先に金属製の鏃のようなものを装着した縄鏢(ジョウヒョウ)という武器で応戦しますが、包囲されます。アチは縄鏢の紐で木に登り難を逃れますが、そこにいたナツハに殺害されます。草地で待っていたクラトは、犬と狼の声を不審に思いますが、その直後、アカメが弩で放った矢により落命します。アカメはヤノハに、ナツハが刺客のアチをいとも容易く仕留めたことを報告します。同じ志能備としてナツハをどう思うか、とヤノハに問われたアカメは、ナツハを甘く見ていた、今戦っても無傷で勝つことは不可能と答えます。クラトはどうなったのか、とヤノハに問われたアカメは、ヤノハの希望通り、一瞬で何も分からないまま黄泉へと旅立った、と答えます。ヤノハはアカメに、これは自分とそなただけの秘密だ、と命じます。

 50日ほど前、ヤノハは自分を襲った日向(ヒムカ)の邑長を助け、その邑長が亀の黥の入った男性と密会しているところを、ヌカデは目撃してヤノハに報告していました(38話)。この様子をアカメも目撃しており、亀の黥はウラ一族の証ではあるものの、あからさますぎる、と疑問を抱きました。亀の黥の入った男性は、穂波の重臣であるトモに拝謁し、トモの従者らしき女性に背中の黥を消させていました。黥ではなく、ボディペインティングのようなものだった、ということでしょう。男性は、叢に女性が隠れていたと報告し、トモは、これで疑いは都萬に逃れたウラに向く、と言います。このやり取りを、床の下でアカメは盗聴していました。さらに12日前、クラトがトモにミマアキ殺害を依頼する場面(46話)を、アカメは盗聴していました。クラトに会いに行ったミマアキが、クラトの死を知らず、呑気にクラトを呼んでいるところで、今回は終了です。


 今回は、クラトとミマアキの関係に決着がつきました。ミマアキがすぐに死ぬことはなさそうなので、クラトが粛清されるか、亡命するか、ヤノハに追い詰められて「改心」し、完全な忠誠を尽くすようになる、と予想していましたが、クラトは粛清されました。これで、ミマアキを「昼の王」とするヤノハの構想が実現することになりそうです。ナツハがミマアキ暗殺計画を阻止するようヤノハから命じられたのは予想通りでしたが、これでヤノハがナツハを信頼するようになるのかというと、ヤノハは用心深いので、まだミマアキに対するように信頼することはないでしょう。ヤノハは、ナツハが弟のチカラオかもしれない、と考えているようですが、今後チカラオをどう使おうとするのか、注目されます。また、ナツハは母のように慕うヒルメから、ヤノハに残酷な仕打ちをするよう、命じられています。それをヤノハがどう防ぐのか、あるいはナツハが弟だと確信を得た場合、ヤノハはナツハとどのような関係を築こうとするのか、今後の見どころになりそうです。また、日下(ヒノモト)に向かったトモの動向も気になります。日下の国は今どのような状況なのか、サヌ王(記紀の神武天皇と思われます)の末裔は健在なのか、そうだとして、日向に山社を建国したヤノハに対してどう動くのか、ということが、ある程度九州の情勢が落ち着きつつある中、次の山場となるかもしれません。

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