爆発的な適応放散の生態学的・ゲノム的基盤

 爆発的な適応放散の生態学的・ゲノム的基盤に関する研究(McGee et al., 2020)が公表されました。種分化の速度は系統間で著しく異なり、新たな適応放散の中で何が種分化事象を次々に駆動しているのか、ということについての理解は、まだ不完全です。カワスズメ科の魚類(シクリッド類)はそうした多様性の顕著な例で、緩やかな種分化を経た系統が多い中、一部にはひときわ大規模で急速な放散を遂げた系統もあります。

 この研究は、シクリッド類の全ての記載種について大規模な系統発生の再構築を行なうことで、シクリッド類の爆発的な種分化は、一部の新しい大湖沼の種群にのみ集中している、と明らかにします。種分化速度の上昇は頂点捕食者の欠如と関連づけられたものの、これは爆発的な種分化を充分に説明するものではありません。湖沼における放散では全体的に、種分化速度と大きな挿入/欠失多型の多さとの間に正の関係が認められました。

 種分化が最も急速に進んでいる放散はヴィクトリア湖で見られ、この放散に属する100種のシクリッドのゲノムアセンブリから、数百の古いハプロタイプに挿入/欠失多型が含まれており、それらの大半が、特定の生態学的特徴と関連づけられるとともに、アフリカの他の湖沼で先行した別の放散に由来する生態学的に類似した種と共通している、という顕著な「ゲノムの可能性」が明らかになりました。ネットワーク解析からは古いハプロタイプの組換えを通した基本的に非樹形の進化が明らかになり、生態学的ギルドの起源は放散の初期に集中している、と明らかになりました。この結果は、爆発的な適応放散の理解には、生態学的な機会と性選択、さらに並外れたゲノムの可能性の組み合わせが重要である、と示唆しています。


参考文献:
McGee MD. et al.(2020): The ecological and genomic basis of explosive adaptive radiation. Nature, 586, 7827, 75–79.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2652-7

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