ネオニコチノイド系農薬による鳥類への悪影響

 ネオニコチノイド系農薬による鳥類への悪影響に関する研究(Li et al., 2020)が公表されました。鳥類の生物多様性は急速に低下しています。アメリカ合衆国の鳥類の個体数は1970年以降29%減少しており、これは、農業生産における農薬の使用量の増加など、さまざまな要因があるとされています。ニコチンをベースにしたネオニコチノイド系農薬は、この数十年でアメリカ合衆国での使用量が増加しました。これまでの研究で、ネオニコチノイド系農薬が鳥類などの非標的種に対して毒性を示す可能性が示されています。しかし、ネオニコチノイド系農薬がアメリカ合衆国の鳥類の多様性に与える影響はよく分かっていません。

 この研究は、2008~2014年のアメリカ合衆国の鳥類に対するネオニコチノイド系農薬の影響を調べました。この研究は、北アメリカ大陸鳥類繁殖調査のデータを分析し、鳥類の異なる4種群(草原性鳥類、非草原性鳥類、食虫性鳥類、非食虫性鳥類)の郡レベルの変化を特定し、これを郡レベルの農薬使用量のデータと結びつけました。その結果、ネオニコチノイド系農薬の使用量が郡当たり100kg(平均で12%)増加すると、草原性鳥類の個体数が2.2%、食虫性鳥類の個体数が1.6%減少する、と明らかになりました。これと比較して、非ネオニコチノイド系農薬の使用量100kgに伴う草原性鳥類の減少は0.05%、非草原性鳥類と食虫性鳥類と非食虫性鳥類の減少は0.03%でした。こうした影響は蓄積するので、この研究は、たとえば2008年にネオニコチノイド系農薬が郡当たり100kg使用されたことで、草食性鳥類の累積個体数が2014年までに9.7%減少した、と推定しています。

 これらの知見は、ネオニコチノイド系農薬の使用が重要な鳥類の個体数の減少に比較的大きな影響を与えて、こうした影響は時間とともに大きくなることを示唆しています。この研究はまた、鳥類の個体数に対するネオニコチノイド系農薬の悪影響が、アメリカ合衆国の中西部とカリフォルニア州南部と北部大草原に集中していることも明らかしました。ネオニコチノイド系殺虫剤の悪影響は、すでにハチ(関連記事)や宍道湖の漁業(関連記事)に悪影響を与えている、と明らかになっています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。


生物多様性:ネオニコチノイド系農薬が米国の鳥類に悪影響を及ぼす

 米国本土におけるネオニコチノイド系農薬の使用量の増加が、鳥類の個体数に影響を及ぼし、鳥類の多様性を低下させている可能性があることを報告する論文が、今週Nature Sustainability に掲載される。

 鳥類の生物多様性は、急速に低下している。米国の鳥類の個体数は、1970年以降29%減少しており、これは、農業生産における農薬の使用量の増加など、さまざまな要因があるとされている。ニコチンをベースにしたネオニコチノイド系農薬は、この数十年で米国での使用量が増加した。これまでの研究で、ネオニコチノイド系農薬が鳥類などの非標的種に対して毒性を示す可能性が示されている。しかし、ネオニコチノイド系農薬が米国の鳥類の多様性に与える影響はよく分かっていない。

 今回、Madhu Khannaたちは、2008~2014年の米国の鳥類に対するネオニコチノイド系農薬の影響を調べた。Khannaたちは、北米鳥類繁殖調査のデータを分析して、鳥類の4つの異なる種群(草原性鳥類、非草原性鳥類、食虫性鳥類、非食虫性鳥類)の郡レベルの変化を特定し、これを郡レベルの農薬使用量のデータと結び付けた。

 その結果、ネオニコチノイド系農薬の使用量が郡当たり100キログラム(平均で12%)増加すると、草原性鳥類の個体数が2.2%、食虫性鳥類の個体数が1.6%減少することが明らかになった。これに比べて、非ネオニコチノイド系農薬の使用量100キログラムに伴う草原性鳥類の減少は0.05%、非草原性鳥類、食虫性鳥類、非食虫性鳥類の減少は0.03%であった。こうした影響は蓄積するので、Khannaたちは、例えば2008年にネオニコチノイド系農薬が郡当たり100キログラム使用されたことで、草食性鳥類の累積個体数が2014年までに9.7%減少したと見積もっている。今回の知見は、ネオニコチノイド系農薬の使用が重要な鳥類の個体数の減少に比較的大きな影響を及ぼし、こうした影響は時間とともに大きくなることを示唆している。Khannaたちはまた、鳥類の個体数に対するネオニコチノイド系農薬の悪影響が、米国中西部、カリフォルニア州南部、北部大草原に集中していることも見いだしている。



参考文献:
Li Y, Miao R, and Khanna M.(2020): Neonicotinoids and decline in bird biodiversity in the United States. Nature Sustainability, 3, 12, 1027–1035.
https://doi.org/10.1038/s41893-020-0582-x

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